日本赤十字社録事 (1920年6月26日官報)
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(日本赤十字社録事(1920年6月26日官報)から転送)
旧表記
彙報
○陸海軍
◎日本赤十字社錄事
總會 日本赤十字社ハ去月ニ十日東京市日比谷公園内ニ於テ第二十八囘通常總會ヲ擧行セリ當日 皇后陛下行啓仰出サレ出席社員一萬七千五百餘人ニシテ午前十時二十七分一同着席ス總裁戴仁親王殿下神臨場社長男爵石黑忠悳開會ヲ宣告シ大正八年度事務竝ニ決算報告及非常部決算報告ヲ爲シ次テ常議員四人ノ補缺選擧ヲ行フ旨ヲ宣告ス是時特別社員阿部浩ヨリ常議員ノ補缺選擧ハ選擧委員四人ヲ設ケテ之ニ付託スルコト〵シ社長ヨリ指名セラレタシトノ動議ヲ提出シタルニ滿場異議ナク贊成ヲ得タルヲ以テ社長ハ特別社員阿部浩、同井上孝哉、同堀内秀太郞、同折原巳一郞ノ四人ヲ委員ニ指名シタリ依テ委員ハ別席ニ於テ選定シ之ヲ社長ニ告ゲ社長ハ其人名ヲ議場ニ報告セリ其當選者左ノ如シ
常議員
勳有功章 特別社員 | 大久保利武 同 石塚英藏 |
同 |
夫ヨリ社長ノ御先導ニテ 皇后陛下式場ニ臨御左ノ令ノ旨ヲ賜ハリタリ
令 旨
茲に日本赤十字社第二十八囘總會に臨み親しく各員を見るを喜ふ今や平和克復し各國赤十字社の聯盟成るは誠に慶すへし然れども極東の派兵未た歸還の期に至らす世運の趨勢又圖るへ可らさるものなり須らく時宜に適するの策を立て會社業を擴張せんことを望む
總裁戴仁親王殿下左ノ奉答アリタリ
奉 答
日本赤十字社第二十八囘通常總會ヲ開クニ當リ畏クモ
皇后陛下行啓ヲ辱ウシ優渥ナル
皇后陛下行啓ヲ辱ウシ優渥ナル
今旨ヲ賜フ本社ノ光榮之ニ過クルナシ
惟フニ本社創業以來年ヲ逐ヒ愈〱隆盛ニシテ現ニ百九十三萬餘ノ社員ヲ有スルニ至レリ之レ偏ニ
陛下恩澤ノ致ス所ニシテ洵ニ感激ノ至リニ堪へサルナリ
今ヤ歐州ノ戰亂終熄平和克復シ各國赤十字社ノ聯盟成リ其ノ第一囘總會ヲ瑞西ニ開キ事業ノ伸張ヲ圖ルニ際シ本社モ亦代表者ヲ參加セシメタリ
本社ハ又夙ニ戰時救護ノ外平時救護ニ盡力スト雖モ尙世界ノ趨勢ニ順應シ自今一層事業ノ普及ニ勗メ以テ
鴻恩ニ報イ奉ラムコトヲ期ス茲ニ謹ミテ奉答ス
鴻恩ニ報イ奉ラムコトヲ期ス茲ニ謹ミテ奉答ス
入御ノ後社長閉會ヲ宣告シタルハ午前十時五十六分ナリ是日載仁親王妃智惠子殿下、依仁親王妃周子殿下、邦彥王妃俔子殿下、守正王妃伊都子殿下列立宮内大臣子爵波多野敬直、海軍大臣加藤友三郞等列席セリ又社業ニ盡力セル功勞者及社資ヲ贊助セシ篤志者ニ對シ總會ニ際シ總裁殿下ヨリ有功章及特別社員章ヲ授與アラセラレタリ其氏名左ノ如シ(以上陸軍省、海軍省)
有功章受賞者
(以下、地名及び氏名、略)
現代表記
彙報
○陸海軍
◎日本赤十字社録事
総会 日本赤十字社は去月二十日東京市日比谷公園内において、第28回通常総会を挙行せり。当日、皇后陛下行啓仰出され、出席社員1万7千500余人にして、午前10時27分一同着席す。総裁戴仁親王殿下神臨場、社長男爵石黒忠悳開会を宣告し、大正8年度事務並に決算報告及非常部決算報告をなし、ついで常議員4人の補欠選挙を行う旨を宣告す。この時、特別社員阿部浩より常議員の補欠選挙は選挙委員4人を設けてこれに付託することとし、社長より指名せられたしとの動議を提出したるに、満場異議なく賛成を得たるをもって、社長は、特別社員阿部浩、同井上孝哉、同堀内秀太郎、同折原巳一郎の四人を委員に指名したり。よって委員は別席において選定し、これを社長に告げ、社長はその人名を議場に報告せり。その当選者左の如し。
常議員
勳有功章 特別社員 | 大久保利武 同 石塚英蔵 |
同 |
それより社長の御先導にて、皇后陛下式場に臨御。左の令の旨を賜わりたり。
令 旨
ここに日本赤十字社第28回総会に臨み、親しく各員を見るを喜ぶ。今や平和克復し、各国赤十字社の連盟成るは誠に慶すべし。然れども、極東の派兵未た帰還の期に至らず。世運の趨勢又図るべからざるものなり。すべからく時宜に適するの策を立て、会社業を拡張せんことを望む。
総裁戴仁親王殿下、左の奉答ありたり。
奉 答
日本赤十字社第28回通常総会を開くに当り、かしこくも皇后陛下行啓を辱うし優渥なる。
今旨を賜ふ本社の光栄、これに過ぐるなし。
おもうに本社創業以来、年をおい、いよいよ隆盛にして現に293万余の社員を有するに至れり。これひとえに陛下恩沢の致す所にして、まことに感激の至りに堪えざるなり。
今や欧州の戦乱終熄、平和克復し、各国赤十字社の連盟成り、その第1回総会をスイスに開き、事業の伸張を図るに際し本社もまた代表者を参加せしめたり。
本社はまた、つとに戦時救護の外、平時救護に尽力すといえども、なお世界の趨勢に順応し、自今いっそう事業の普及につとめ、もって鴻恩に報い奉らむことを期す。ここに謹みて奉答す。
入御の後、社長閉会を宣告したるは、午前10時56分なり。この日、載仁親王妃智恵子殿下、依仁親王妃周子殿下、邦彦王妃俔子殿下、守正王妃伊都子殿下列立、宮内大臣子爵波多野敬直、海軍大臣加藤友三郎等列席せり。また社業に尽力せる功労者及、社資を賛助せし篤志者に対し総会に際し総裁殿下より有功章及特別社員章を授与あらせられたり。その氏名左の如し(以上陸軍省、海軍省)
有功章受賞者
(以下、地名及び氏名、略)