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（十一）

乘法及除法

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るが故に又 $(\alpha \beta )\gamma =\alpha (\beta \gamma )$ 同樣にして又 $(\alpha +\beta )\gamma =\alpha \gamma +\beta \gamma$ を得．

$\alpha$ を $\beta$ にて除して得べき商は $\alpha :\beta$ なる比の値卽ち $\alpha :\beta =\gamma :1$ に適合すべき數 $\gamma$ なり．比と除法とを同一の記法にて表はせるは實は此事實を豫期せるに由る．

$a$，$a'$，$b$，$b'$ を例の如き意義に用ゐるときは

${\frac {a'}{b}}>\gamma >{\frac {a}{b'}}$

にして且 ${\frac {a}{b'}}$ の上限及 ${\frac {a'}{b}}$ の下限は共に $\gamma$ に等し，其證明は讀者の類を以て推すに任して可なるべし．

若し $\alpha$，$\beta$ が十進命數法に於て與へられたりとし，$r_{k}$，$s_{k}$ を例の如き意義に用ゐて ${\frac {r_{k}}{s_{k}}}$ を作るときは，$k$ を限なく增大して，如何程にても ${\frac {\alpha }{\beta }}$ に近迫することを得べし．然れども此場合に於ては ${\frac {r_{k}}{s_{k}}}$ は $k$ と共に增大又は減小する者にあらず，隨て ${\frac {\alpha }{\beta }}$ は ${\frac {r_{k}}{s_{k}}}$ の上限又は下限にあらず．若し $r'_{k}$，$s'_{k}$ を（七）に於ける如き意義に用ゐるときは，卽ち $r'_{k}$，$s'_{k}$ を以て $r_{k}$，$s_{k}$ の末位の係數に $1$ を加へ