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九

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無理數

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より大なりとは不可有の事に屬す．$g$ の $n$ 倍は $a$ より小ならず，又 $a$ より大ならず，是故に數の第一原則によりて $g$ の $n$ 倍は $a$ に等しからざるを得ず．其 $n$ 倍 $a$ に等しき數の $g$ を外にして存在し得ざること明白なり．

（四）

有理數の分布は稠密なり．$a$，$b$ を二つの相異なる有理數とせば，$a$，$b$ の中間必ず第三の有理數を容る．此事實は更に之を修補することを得．

$\alpha$，$\beta$ を相異なる二つの數とせば（$\alpha$，$\beta$ が有理數たると，然らざるとを論ぜず）$\alpha$，$\beta$ の中間に有理數必ず存在す．

げにも，例へば $\alpha >\beta$ となすときは，アルキメデスの法則によりて $n(\alpha -\beta )>1$ なる如き自然數 $n$ は必ず存在す．隨て $\alpha -\beta >{\frac {1}{n}}$ さて $n$ を分母とせる正の分數の中 $\beta$ より大ならざる者は其數に限りあり，就中最大なるを ${\frac {m}{n}}$ となすに ${\frac {m+1}{n}}>\beta$ にして，此 ${\frac {m+1}{n}}$ なる有理數は $\alpha$ より小なり．如何にとならば，若し假に ${\frac {m+1}{n}}\geqq \alpha$ なりとせば ${\frac {m+1}{n}}\geqq \alpha >\beta \geqq {\frac {m}{n}}$ より ${\frac {1}{n}}\geqq$