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(二)
乘法の意義
丙なる一組の物あり其數 なるとき,之を分ちて甲,乙の二組となすときは,甲に屬する物の數は より小なり,此數を と名づくれば,乙に屬する物の數は卽ち なり.
(二)
加法は組み合はせの法則に從ふものなるが故に,同一の數 を幾囘も加へ合はせて得らるべき和は此數と加へ合すべき囘數 とによりて全く定まるべし.斯の如き和を求むるは 及び なる二つの數を與へて之より或る定まれる第三の數を得べき手續きなるが故に,之を , なる二數に施こせる一の算法と見做すことを得.此算法は卽ち乘法にして は被乘數, は乘數,求め得たる和は の 倍或は , を乘したる積( 又は )なり., は何れも此積の因數にして といふ積の第一の因數は被乘數,第二のは乘數なり.加へ合はすといふ語は少なくとも二個の數を豫想するが故に, に を乘ずとは沒意義の事なり.吾輩は玆に改めて, とは の事なるべしと定む.