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(六)
公約なき二量の實例

ユークリツドの法式の根據は(二)に述べたる量の原則にあり.今飜て此原則を吟味せば,此原則が公約なき二量の存否を決定するに足らざるを悟らん.

一有理區域以外に量あるや否やは姑らく措きて,一有理區域の量のみに着眼して,之を一系統となすに,此系統はよく(二)の諸原則に適合せり.(二)の諸原則に於て「量」といへる語に代ふるに「一有理區域の量」といふを以てするとき,此等の諸原則は盡く實現せらるべし.有理區域內の二量必ず比較し得べく,其加合は常に同一有理區域內に於て可能にして,連續に關する三つの性質も亦一有理區域內の量のみにつきて旣に成立す.

夫れ,一有理區域の量のみを以てして旣に(二)の諸原則を充實すべし.卽ち一有理區域以外に量あると然らざるとは(二)の原則の與り知らざる所なり.公約なき二量の存否を決定すべき所以の者は此等の原則以外に之を求めざるべからず.

公約なき二量の實例は之をユークリツド幾何學より學び得べし.平方形の一邊