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日丈にても實に百七十餘件あり、其要旨は豫め當局者に提出しあるのみならず活版刷となりて一般議員は勿論傍聽者に迄配付せられ居るが故に議塲に於て質問の爲に時間を空費する事なく議長が質問者の姓名を呼び上ぐるや當局者は直に起ちて兼て用意しある答辯を書面に認めたるものを朗讀す、かくて議事は一瀉千里の勢にて進行するなり、然して議塲の靜肅にして各員の飽く迄紳士的態度を失はざる所は流石に英國也と感服せざるを得ず、時にヒヤノーを言ふのみにして拍手の如きも一切禁ぜらる、余は日本の下院がかゝる節制の狀態に達するは尙前途遼遠なるべきを思ふて覺えず長大息せざるを得ざりき。