Page:Sekai Isshū Shōka.pdf/4

三、棕櫚（しゆろ）の花（はな）さく新嘉坡（シンガポール）
　椰子（やし）の實（み）みのる錫蘭島（セイロントー）
暑（あつ）き印度（インド）を過（す）ぎゆけば
　わたるに安（やす）き蘇士（スエズ）の海（うみ）」

四、駱駝（らくだ）嘶（いなゝ）く阿良毘亞（アラビア）の
　沙漠（さばく）の月（つき）の果（はて）もなき」
國原（くにはら）こえてゆく先（さき）は
　文明開化（ぶんめいかいくゎ）の歐羅巴（ヨーロッパ）

五、テームスドックに船（ふね）よせて
　上（あが）れば忽（たちま）ち倫敦市（ロンドンし）
人目（ひとめ）にうつる議事堂（ぎじだう）は
　立憲政治（りつけんせいじ）の世（よ）の鏡（かゞみ）

六、商工業（しょーこーぎょー）の繁榮（はんえい）は
　立葢（たちお）ふ狹霧（さぎり）もつゝみえず
海（うみ）をこゆれば白耳義（ベルギー）の
　アントワープにブリュクセル府（ふ）」

七、和蘭（オランダ）過（す）ぎてゆきゆけば
　帝威（ていい）かゞやく獨乙國（ドイツこく）
武人（ぶじん）の冑（かぶと）は日月（じつげつ）と
　共（とも）に光（ひかり）をあらそへり

八、北半島（きたはんとー）は丁抹（デンマルク）
　その名（な）は髙（たか）し陶器業（とーきぎょー）
寒（さむ）き瑞典（スヱーデン）諾威（ノルウヱージ）
　功（いさを）はしるし航海業（こーかいぎょー）