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やを問へ。……諸君は彼等の答ふる所を聽き、而して此事に關して、彼等の答ふる所に據り、諸君は其他の事の眞理なるを判斷することを得べし。

余が自ら以つて敎師なりとして、金錢を貪りしとの報道に關しては、毫も基礎あることなく、他の事と同じく、决して眞理に非ざるなり。索より能く人を敎へ得る人は余は之れを敬し報酬を取るを不可とせざるなり。乃ち彼のレオンチオン人ゴルギアス、ケオース人ブローヂコス、エリス人ヒッピアス等是等諸大家は諸都市を巡回し、靑年を說きて、其都市の人物等は到底何事をも彼等靑年に敎へ能はざる者となし、彼等靑年をして自己の都市を見棄て、而して彼等に隨從せしむ。而して彼等靑年は多額の金錢を彼等に拂ひ、又た之れを拂ふことの承諾を得るを以つて大なる名譽として之れを感謝することを爲せり、現にパロス島の哲學者來つてアテーナイ市に住せるあり、余は彼れに關して聞きたることあり、而して此の哲學者に關して聞きたるは此くの如き塲合なりき――一日余は「ソフィスト」の爲めに巨額の金錢を消費したる一人即ちヒツポニコスの子なるカリアスなるものに會へり。余はカリアスは子息ある人なるを知れるを以