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ヘーゲルよりハルトマンに至る間の他の獨逸哲學者

《ヘーゲルよりハルトマンに至る間の獨逸哲學者ベーネケ、ロッツェ、フェヒネル等。》〔七〕ヘーゲルよりハルトマンに至る間の獨逸哲學に於ける最も偉大なる組織は上來述べたる所に見るを得べきが、其の他にも多くの哲學者輩出して其の中には一家の見地を開きたる者もあり。中に就いて最も主要なるはベーネケ、トレンデレンブルグ、ロッツェ及びフェヒネル等なり。

ベーネケ(Beneke 一七九八―一八五四)はフリースの思想を辿る所あり專ら心內の經驗を基礎として心理說に基づきたる哲學の組織を立てむとせる者なり、換言すれば、心理的硏究の見地よりしてカント哲學に新らしき解釋を與へむとしたるもの是れ彼れが哲學なりといふを得べし。フォルトラーゲ(Fortlage 一八〇六―一八七二)の如きはベーネケの思想を辿れること多き者なり。

トレンデレンブルグ(Trendelenburg 一八〇二―一八七二)はアリストテレースが哲學の眞理を復活せしめむとしたる者なり。