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Page:Onishihakushizenshu04.djvu/547

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見、都合十二種の槪念を擧げ之れを名づけて十二の範疇カテゴリーと云へり。右の中、質及び量に於ける六種の判定には其の各〻に於て知識論上の槪念が單に一なるものとして働き居れり、カントは之れを數學的と名づく、關係及び樣狀に於ける他の六種には槪念が相對したるものとして働き居れり(例へば體と性と相對し可能と不可能と相對するが如し)、之れを力學的と名づく。右四部類の各〻に於いて第三の槪念は第一及び第二の兩槪念の結合によりて成れるものと見て可なり(例へば多なるものを一體として見れば全體を成し、實有と非有とを相結べば界限を成すが如し)。

《範疇の統一作用。》〔一九〕以上列擧したる槪念を用ゐて思考するに及びて始めて經驗上の事物を成す。例へば「此の花は紅なり」といふ時に於いて、此の花と云ひ其を一つの花として見る所に已に一體といふ槪念働き、又此の花といふ一物が紅なりといふ所に已に體性といふ槪念が働き、又紅なりと肯定する所に實有といふ槪念が働き居り、又火熱が蠟を融かすといふ時には因果といふ槪念が働き居るが如し。斯く上にいふカテゴリーを用ゐて感官的直觀上の多なる事柄に統一を與へて茲に始めて經驗上の事物を成すなり。故に此等の統一作用は經驗によりて始めて出來上が