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〈無題〉『ぷりむらの』
ぷりむらの
そば吹くときは
かぜもあかるく
うれしさう
百姓 ㈠
夕やみのなかにあしおとがして來た。
たれかゞ走つて來た。
ものすごいいきほひで走つて來た。
たれかと思つたら、ついさつき
行きあつた百姓だつた。
百姓は何か急󠄁用ができたのだ、
それで牛車をほつといて走つて來たのだ。
「おゝ、あつた! よかつた!」
彼は私の二、三間むかうで何かを拾つた。
何を拾つたんだらう。
夕やみでよく見えなかつたが、
たしかにそれは肥料びしやくであつた。