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Page:NiimiNankichi-NurseryRhymes and Poems-2-DaiNipponTosho-1981.djvu/55

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朝󠄁心に昨日の疲れの續きを

覺えながら

昨日のうれひの續きを

ひきつぎながら一日を始めるのに

あの子達󠄁の魂を

何が日每清󠄁新にするのか

生徒等が歸つてしまつて

跫音󠄁もしなくなつた部屋に

私はぼけんと殘つてゐる

小鳥達󠄁の去つたあとの

一本の樹木のやうに



刈られたばかりの雜草が

ゆるゆると流れて來る

今朝󠄁は川上で

誰か草を刈つているのだ

私はステツキをついて

小川の土橋を渡る

孤獨のやうに このステツキも

はや私の身について

たまたま手に重く感じるばかり

――だが川上から草を流した男は

さびしい時に

煙草を一本くれる程󠄁の

よい物を私にくれた