コンテンツにスキップ

Page:NDL2950488 官報 1907年04月24日.pdf/7

提供:Wikisource
このページは校正済みです

ハ六月以上七年以下ノ懲役ニ處ス

前項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第二百十六條
前條ノ罪ヲ犯シ因テ婦女ヲ死傷ニ致シタル者ハ傷害ノ罪ニ比較シ重キニ從テ處斷ス
第三十章 遺棄ノ罪
第二百十七條
老幼、不具又ハ疾病ノ爲メ扶助ヲ要ス可キ者ヲ遺棄シタル者ハ一年以下ノ懲役ニ處ス
第二百十八條
老者、幼者、不具者又ハ病者ヲ保護ス可キ責任アル者之ヲ遺棄シ又ハ其生存ニ必要ナル保護ヲ爲ササルトキハ三月以上五年以下ノ懲役ニ處ス
自己又ハ配偶者ノ直系尊屬ニ對シテ犯シタルトキハ六月以上七年以下ノ懲役ニ處ス
第二百十九條
前二條ノ罪ヲ犯シ因テ人ヲ死傷ニ致シタル者ハ傷害ノ罪ニ比較シ重キニ從テ處斷ス
第三十一章 逮捕及ヒ監禁ノ罪
第二百二十條
不法ニ人ヲ逮捕又ハ監禁シタル者ハ三月以上五年以下ノ懲役ニ處ス
自己又ハ配偶者ノ直系尊屬ニ對シテ犯シタルトキハ六月以上七年以下ノ懲役ニ處ス
第二百二十一條
前條ノ罪ヲ犯シ因テ人ヲ死傷ニ致シタル者ハ傷害ノ罪ニ比較シ重キニ從テ處斷ス
第三十二章 脅迫ノ罪
第二百二十二條
生命、身體、自由、名譽又ハ財產ニ對シ害ヲ加フ可キコトヲ以テ人ヲ脅迫シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス
親族ノ生命、身體、自由、名譽又ハ財產ニ對シ害ヲ加フ可キコトヲ以テ人ヲ脅迫シタル者亦同シ
第二百二十三條
生命、身體、自由、名譽若クハ財產ニ對シ害ヲ加フ可キコトヲ以テ脅迫シ又ハ暴行ヲ用ヒ人ヲシテ義務ナキ事ヲ行ハシメ又ハ行フ可キ權利ヲ妨害シタル者ハ三年以下ノ懲役ニ處ス
親族ノ生命、身體、自由、名譽又ハ財產ニ對シ害ヲ加フ可キコトヲ以テ脅迫シ人ヲシテ義務ナキ事ヲ行ハシメ又ハ行フ可キ權利ヲ妨害シタル者亦同シ
前二項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第三十三章 略取及ヒ誘拐ノ罪
第二百二十四條
未成年者ヲ略取又ハ誘拐シタル者ハ三月以上五年以下ノ懲役ニ處ス
第二百二十五條
營利、猥褻又ハ結婚ノ目的ヲ以テ人ヲ略取又ハ誘拐シタル者ハ一年以上十年以下ノ懲役ニ處ス
第二百二十六條
帝國外ニ移送スル目的ヲ以テ人ヲ略取又ハ誘拐シタル者ハ二年以上ノ有期懲役ニ處ス
帝國外ニ移送スル目的ヲ以テ人ヲ賣買シ又ハ被拐取者若クハ被賣者ヲ帝國外ニ移送シタル者亦同シ
第二百二十七條
第二百二十四條、前三條ノ罪ヲ犯シタル者ヲ幇助スル目的ヲ以テ被拐取者又ハ被賣者ヲ收受若クハ藏匿シ又ハ隱避セシメタル者ハ三月以上五年以下ノ懲役ニ處ス
營利又ハ猥褻ノ目的ヲ以テ被拐取者又ハ被賣者ヲ收受シタル者ハ六月以上七年以下ノ懲役ニ處ス
第二百二十八條
本章ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第二百二十九條
第二百二十六條ノ罪、同條ノ罪ヲ幇助スル目的ヲ以テ犯シタル第二百二十七條第一項ノ罪及ヒ此等ノ罪ノ未遂罪ヲ除ク外本章ノ罪ハ營利ノ目的ニ出テサル場合ニ限リ吿訴ヲ待テ之ヲ論ス但被拐取者又ハ被賣者犯人ト婚姻ヲ爲シタルトキハ婚姻ノ無効又ハ取消ノ裁判確定ノ後ニ非サレハ吿訴ノ効ナシ
第三十四章 名譽ニ對スル罪
第二百三十條
公然事實ヲ摘示シ人ノ名譽ヲ毀損シタル者ハ其事實ノ有無ヲ問ハス一年以下ノ懲役若クハ禁錮又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
死者ノ名譽ヲ毀損シタル者ハ誣罔ニ出ツルニ非サレハ之ヲ罰セス
第二百三十一條
事實ヲ摘示セスト雖モ公然人ヲ侮辱シタル者ハ拘留又ハ科料ニ處ス
第二百三十二條
本章ノ罪ハ吿訴ヲ待テ之ヲ論ス
第三十五章 信用及ヒ業務ニ對スル罪
第二百三十三條
虛僞ノ風說ヲ流布シ又ハ僞計ヲ用ヒ人ノ信用ヲ毀損シ若クハ其業務ヲ妨害シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二百三十四條
威力ヲ用ヒ人ノ業務ヲ妨害シタル者亦前條ノ例ニ同シ
第三十六章 竊盜及ヒ强盜ノ罪
第二百三十五條
他人ノ財物ヲ竊取シタル者ハ竊盜ノ罪ト爲シ十年以下ノ懲役ニ處ス
第二百三十六條
暴行又ハ脅迫ヲ以テ他人ノ財物ヲ强取シタル者ハ强盜ノ罪ト爲シ五年以上ノ有期懲役ニ處ス
前項ノ方法ヲ以テ財產上不法ノ利益ヲ得又ハ他人ヲシテ之ヲ得セシメタル者亦同シ
第二百三十七條
强盜ノ目的ヲ以テ其豫備ヲ爲シタル者ハ二年以下ノ懲役ニ處ス
第二百三十八條
竊盜財物ヲ得テ其取還ヲ拒キ又ハ逮捕ヲ免レ若クハ罪跡ヲ湮滅スル爲メ暴行又ハ脅迫ヲ爲シタルトキハ强盜ヲ以テ論ス
第二百三十九條
人ヲ昏醉セシメテ其財物ヲ盜取シタル者ハ强盜ヲ以テ論ス
第二百四十條
强盜人ヲ傷シタルトキハ無期又ハ七年以上ノ懲役ニ處ス死ニ致シタルトキハ死刑又ハ無期懲役ニ處ス
第二百四十一條
强盜婦女ヲ强姦シタルトキハ無期又ハ七年以上ノ懲役ニ處ス因テ婦女ヲ死ニ致シタルトキハ死刑又ハ無期懲役ニ處ス
第二百四十二條
自己ノ財物ト雖モ他人ノ占有ニ屬シ又ハ公務所ノ命ニ因リ他人ノ看守シタルモノナルトキハ本章ノ罪ニ付テハ他人ノ財物ト看做ス
第二百四十三條
第二百三十五條、第二百三十六條、第二百三十八條乃至第二百四十一條ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第二百四十四條
直系血族、配偶者及ヒ同居ノ親族又ハ家族ノ間ニ於テ第二百三十五條ノ罪及ヒ其未遂罪ヲ犯シタル者ハ其刑ヲ免除シ其他ノ親族又ハ家族ニ係ルトキハ吿訴ヲ待テ其罪ヲ論ス
親族又ハ家族ニ非サル共犯ニ付テハ前項ノ例ヲ用ヒス
第二百四十五條
本章ノ罪ニ付テハ電氣ハ之ヲ財物ト看做ス
第三十七章 詐欺及ヒ恐喝ノ罪
第二百四十六條
人ヲ欺罔シテ財物ヲ騙取シタル者ハ十年以下ノ懲役ニ處ス
前項ノ方法ヲ以テ財產上不法ノ利益ヲ得又ハ他人ヲシテ之ヲ得セシメタル者亦同シ
第二百四十七條
他人ノ爲メ其事務ヲ處理スル者自己若クハ第三者ノ利益ヲ圖リ又ハ本人ニ損害ヲ加フル目的ヲ以テ其任務ニ背キタル行爲ヲ爲シ本人ニ財產上ノ損害ヲ加ヘタルトキハ五年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二百四十八條
未成年者ノ知慮淺薄又ハ人ノ心神耗弱ニ乘シテ其財物ヲ交付セシメ又ハ財產上不法ノ利益ヲ得若クハ他人ヲシテ之ヲ得セシメタル者ハ十年以下ノ懲役ニ處ス
第二百四十九條
人ヲ恐喝シテ財物ヲ交付セシメタル者ハ十年以下ノ懲役ニ處ス
前項ノ方法ヲ以テ財產上不法ノ利益ヲ得又ハ他人ヲシテ之ヲ得セシメタル者亦同シ
第二百五十條
本章ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第二百五十一條
本章ノ罪ニハ第二百四十二條、第二百四十四條及ヒ第二百四十五條ノ規定ヲ準用ス
第三十八章 橫領ノ罪
第二百五十二條
自己ノ占有スル他人ノ物ヲ橫領シタル者ハ五年以下ノ懲役ニ處ス
自己ノ物ト雖モ公務所ヨリ保管ヲ命セラレタル場合ニ於テ之ヲ橫領シタル者亦同シ
第二百五十三條
業務上自己ノ占有スル他人ノ物ヲ橫領シタル者ハ一年以上十年以下ノ懲役ニ處ス
第二百五十四條
遺失物、漂流物其他占有ヲ離レタル他人ノ物ヲ橫領シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ百圓以下ノ罰金若クハ科料ニ處ス
第二百五十五條
本章ノ罪ニハ第二百四十四條ノ規定ヲ準用ス
第三十九章 贓物ニ關スル罪
第二百五十六條
贓物ヲ收受シタル者ハ三年以下ノ懲役ニ處ス
贓物ノ運搬、寄藏、故買又ハ牙保ヲ爲シタル者ハ十年以下ノ懲役及ヒ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二百五十七條
直系血族、配偶者、同居ノ親族又ハ家族及ヒ此等ノ者ノ配偶者ノ間ニ於テ前條ノ罪ヲ犯シタル者ハ其刑ヲ免除ス
親族又ハ家族ニ非サル共犯ニ付テハ前項ノ例ヲ用ヒス
第四十章 毀棄及ヒ隱匿ノ罪
第二百五十八條
公務所ノ用ニ供スル文書ヲ毀棄シタル者ハ三月以上七年以下ノ懲役ニ處ス
第二百五十九條
權利、義務ニ關スル他人ノ文書ヲ毀棄シタル者ハ五年以下ノ懲役ニ處ス
第二百六十條
他人ノ建造物又ハ艦船ヲ損壞シタル者ハ五年以下ノ懲役ニ處ス因テ人ヲ死傷ニ致シタル者ハ傷害ノ罪ニ比較シ重キニ從テ處斷ス
第二百六十一條
前三條ニ記載シタル以外ノ物ヲ損壞又ハ傷害シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金若クハ科料ニ處ス
第二百六十二條
自己ノ物ト雖モ差押ヲ受ケ、物權ヲ負擔シ又ハ賃貸シタルモノヲ損壞又ハ傷害シタルトキハ前三條ノ例ニ依ル
第二百六十三條
他人ノ信書ヲ隱匿シタル者ハ六月以下ノ懲役若クハ禁錮又ハ五十圓以下ノ罰金若クハ科料ニ處ス
第二百六十四條
第二百五十九條、第二百六十一條及ヒ前條ノ罪ハ吿訴ヲ待テ之ヲ論ス