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Page:NDL2950488 官報 1907年04月24日.pdf/4

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二 謀議ニ參與シ又ハ群衆ノ指揮ヲ爲シタル者ハ無期又ハ三年以上ノ禁錮ニ處シ其他諸般ノ職務ニ從事シタル者ハ一年以上十年以下ノ禁錮ニ處ス
三 附和隨行シ其他單ニ暴動ニ干與シタル者ハ三年以下ノ禁錮ニ處ス

前項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス擔前項第三號ニ記載シタル者ハ此限ニ在ラス

第七十八條
內亂ノ豫備又ハ陰謀ヲ爲シタル者ハ一年以上十年以下ノ禁錮ニ處ス
第七十九條
兵器、金穀ヲ資給シ其他ノ行爲ヲ以テ前二條ノ罪ヲ幇助シタル者ハ七年以下ノ禁錮ニ處ス
第八十條
前二條ノ罪ヲ犯スト雖モ未タ暴動ニ至ラサル前自首シタル者ハ其刑ヲ免除ス
第三章 外患ニ關スル罪
第八十一條
外國ニ通謀シテ帝國ニ對シ戰端ヲ開カシメ又ハ敵國ニ與シテ帝國ニ抗敵シタル者ハ死刑ニ處ス
第八十二條
要塞、陣營、軍隊、艦船其他軍用ニ供スル場所又ハ建造物ヲ敵國ニ交付シタル者ハ死刑ニ處ス
兵器、彈藥其他軍用ニ供スル物ヲ敵國ニ交付シタル者ハ死刑又ハ無期懲役ニ處ス
第八十三條
敵國ヲ利スル爲メ要塞、陣營、艦船、兵器、彈藥、汽車、電車、鐵道、電線其他軍用ニ供スル場所又ハ物ヲ損壞シ若クハ使用スルコト能ハサルニ至ラシメタル者ハ死刑又ハ無期懲役ニ處ス
第八十四條
帝國ノ軍用ニ供セサル兵器、彈藥其他直接ニ戰闘ノ用ニ供ス可キ物ヲ敵國ニ交付シタル者ハ無期又ハ三年以上ノ懲役ニ處ス
第八十五條
敵國ノ爲メニ間諜ヲ爲シ又ハ敵國ノ間諜ヲ幇助シタル者ハ死刑又ハ無期若クハ五年以上ノ懲役ニ處ス
軍事上ノ機密ヲ敵國ニ漏泄シタル者亦同シ
第八十六條
前五條ニ記載シタル以外ノ方法ヲ以テ敵國ニ軍事上ノ利益ヲ與ヘ又ハ帝國ノ軍事上ノ利益ヲ害シタル者ハ二年以上ノ有期懲役ニ處ス
第八十七條
前六條ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第八十八條
第八十一條乃至第八十六條ニ記載シタル罪ノ豫備又ハ陰謀ヲ爲シタル者ハ一年以上十年以下ノ懲役ニ處ス
第八十九條
本章ノ規定ハ戰時同盟國ニ對スル行爲ニ亦之ヲ適用ス
第四章 國交ニ關スル罪
第九十條
帝國ニ滯在スル外國ノ君主又ハ大統領ニ對シ暴行又ハ脅迫ヲ加ヘタル者ハ一年以上十年以下ノ懲役ニ處ス
帝國ニ滯在スル外國ノ君主又ハ大統領ニ對シ侮辱ヲ加ヘタル者ハ三年以下ノ懲役ニ處ス但外國政府ノ請求ヲ待テ其罪ヲ論ス
第九十一條
帝國ニ派遣セラレタル外國ノ使節ニ對シ暴行又ハ脅迫ヲ加ヘタル者ハ三年以下ノ懲役ニ處ス
帝國ニ派遣セラレタル外國ノ使節ニ對シ侮辱ヲ加ヘタル者ハ二年以下ノ懲役ニ處ス但被害者ノ請求ヲ待テ其罪ヲ論ス
第九十二條
外國ニ對シ侮辱ヲ加フル目的ヲ以テ其國ノ國旗其他ノ國章ヲ損壞、除去又ハ汚穢シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ二百圓以下ノ罰金ニ處ス擔外國政府ノ請求ヲ待テ其罪ヲ論ス
第九十三條
外國ニ對シ私ニ戰闘ヲ爲ス目的ヲ以テ其豫備又ハ陰謀ヲ爲シタル者ハ三月以上五年以下ノ禁錮ニ處ス但自首シタル者ハ其刑ヲ免除ス
第九十四條
外國交戰ノ際局外中立ニ關スル命令ニ違背シタル者ハ三年以下ノ禁錮又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第五章 公務ノ執行ヲ妨害スル罪
第九十五條
公務員ノ職務ヲ執行スルニ當リ之ニ對シテ暴行又ハ脅迫ヲ加ヘタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス
公務員ヲシテ或處分ヲ爲サシメ若クハ爲ササラシムル爲メ又ハ其職ヲ辭セシムル爲メ暴行又ハ脅迫ヲ加ヘタル者亦同シ
第九十六條
公務員ノ施シタル封印又ハ差押ノ標示ヲ損壞シ又ハ其他ノ方法ヲ以テ封印又ハ標示ヲ無効タラシメタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第六章 逃走ノ罪
第九十七條
既決、未決ノ囚人逃走シタルトキハ一年以下ノ懲役ニ處ス
第九十八條
既決、未決ノ囚人又ハ勾引狀ノ執行ヲ受ケタル者拘禁場又ハ械具ヲ損壞シ若クハ暴行、脅迫ヲ爲シ又ハ二人以上通謀シテ逃走シタルトキハ三月以上五年以下ノ懲役ニ處ス
第九十九條
法令ニ因リ拘禁セラレタル者ヲ奪取シタル者ハ三月以上五年以下ノ懲役ニ處ス
第百條
法令ニ因リ拘禁セラレタル者ヲ逃走セシムル目的ヲ以テ器具ヲ給與シ其他逃走ヲ容易ナラシム可キ行爲ヲ爲シタル者ハ三年以下ノ懲役ニ處ス
前項ノ目的ヲ以テ暴行又ハ脅迫ヲ爲シタル者ハ三月以上五年以下ノ懲役ニ處ス
第百一條
法令ニ因リ拘禁セラレタル者ヲ看守又ハ護送スル者被拘禁者ヲ逃走セシメタルトキハ一年以上十年以下ノ懲役ニ處ス
第百二條
本章ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第七章 犯人藏匿及ヒ證憑湮滅ノ罪
第百三條
罰金以上ノ刑ニ該ル罪ヲ犯シタル者又ハ拘禁中逃走シタル者ヲ藏匿シ又ハ隱避セシメタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ二百圓以下ノ罰金ニ處ス
第百四條
他人ノ刑事被吿事件ニ關スル證憑ヲ湮滅シ又ハ僞造、變造シ若クハ僞造、變造ノ證憑ヲ使用シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ二百圓以下ノ罰金ニ處ス
第百五條
前二條ノ罪ハ犯人又ハ逃走者ノ親族ニシテ犯人又ハ逃走者ノ利益ノ爲メニ犯シタルトキハ其刑ヲ罰セス
第八章 騷擾ノ罪
第百六條
多衆聚合シテ暴行又ハ脅迫ヲ爲シタル者ハ騷擾ノ罪ト爲シ左ノ區別ニ從テ處斷ス
一 首魁ハ一年以上十年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス
二 他人ヲ指揮シ又ハ他人ニ率先シテ勢ヲ助ケタル者ハ六月以上七年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス
三 附和隨行シタル者ハ五十圓以下ノ罰金ニ處ス
第百七條
暴行又ハ脅迫ヲ爲ス爲メ多衆聚合シ當該公務員ヨリ解散ノ命令ヲ受クルコト三回以上ニ及フモ仍ホ解散セサルトキハ首魁ハ三年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ處シ其他ノ者ハ五十圓以下ノ罰金ニ處ス
第九章 放火及ヒ失火ノ罪
第百八條
火ヲ放テ現ニ人ノ住居ニ使用シ又ハ人ノ現在スル建造物、汽車、電車、艦船若クハ鑛坑ヲ燒燬シタル者ハ死刑又ハ無期若クハ五年以上ノ懲役ニ處ス
第百九條
火ヲ放テ現ニ人ノ住居ニ使用セス又ハ人ノ現在セサル建造物、艦船若クハ鑛坑ヲ燒燬シタル者ハ二年以上ノ有期懲役ニ處ス
前項ノ物自己ノ所有ニ係ルトキハ六月以上七年以下ノ懲役ニ處ス但公共ノ危險ヲ生セサルトキハ之ヲ罰セス
第百十條
火ヲ放テ前二條ニ記載シタル以外ノ物ヲ燒燬シ因テ公共ノ危險ヲ生セシメタル者ハ一年以上十年以下ノ懲役ニ處ス
前項ノ物自己ノ所有ニ係ルトキハ一年以下ノ懲役又ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス
第百十一條
第百九條第二項又ハ前條第二項ノ罪ヲ犯シ因テ第百八條又ハ第百九條第一項ニ記載シタル物ニ延燒シタルトキハ三月以上十年以下ノ懲役ニ處ス
前條第二項ノ罪ヲ犯シ因テ前條第一項ニ記載シタル物ニ延燒シタルトキハ三年以下ノ懲役ニ處ス
第百十二條
第百八條及ヒ第百九條第一項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第百十三條
第百八條又ハ第百九條第一項ノ罪ヲ犯ス目的ヲ以テ其豫備ヲ爲シタル者ハ二年以下ノ懲役ニ處ス但情狀ニ因リ其刑ヲ免除スルコトヲ得
第百十四條
火災ノ際鎭火用ノ物ヲ隱匿又ハ損壞シ若クハ其他ノ方法ヲ以テ鎭火ヲ妨害シタル者ハ一年以上十年以下ノ懲役ニ處ス
第百十五條
第百九條第一項及ヒ第百十條第一項ニ記載シタル物自己ノ所有ニ係ルト雖モ差押ヲ受ケ、物權ヲ負擔シ又ハ賃貸シ若クハ保險ニ付シタルモノヲ燒燬シタルトキハ他人ノ物ヲ燒燬シタル者ノ例ニ同シ
第百十六條
火ヲ失シテ第百八條ニ記載シタル物又ハ他人ノ所有ニ係ル第百九條ニ記載シタル物ヲ燒燬シタル者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
火ヲ失シテ自己ノ所有ニ係ル第百九條ニ記載シタル物又ハ第百十條ニ記載シタル物ヲ燒燬シ因テ公共ノ危險ヲ生セシメタル者亦同シ
第百十七條
火藥、汽罐其他激發ス可キ物ヲ破裂セシメテ第百八條ニ記載シタル物又ハ他人ノ所有ニ係ル第百九條ニ記載シタル物ヲ損壞シタル者ハ放火ノ例ニ同シ自己ノ所有ニ係ル第百九條ニ記載シタル物又ハ第百十條ニ記載シタル物ヲ損壞シ因テ公共ノ危險ヲ生セシメタル者亦同シ
前項ノ行爲過失ニ出テタルトキハ失火ノ例ニ同シ
第百十八條
瓦斯、電氣又ハ蒸汽ヲ漏出若クハ流出セシメ又ハ之ヲ遮斷シ因テ人ノ生命、身體又ハ財產ニ危險ヲ生セシメタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス
瓦斯、電氣又ハ蒸汽ヲ漏出若クハ流出セシメ又ハ之ヲ遮斷シ因テ人ヲ死傷ニ致シタル者ハ傷害ノ罪ニ比較シ重キニ從テ處斷ス
第十章 溢水及ヒ水利ニ關スル罪
第百十九條
溢水セシメテ現ニ人ノ住居ニ使用シ又ハ人ノ現在スル建造物、汽車、電車若クハ鑛坑ヲ浸害シタル者ハ死刑又ハ無期若クハ三年以上ノ懲役ニ處ス
第百二十條
溢水セシメテ前條ニ記載シタル以外ノ物ヲ浸害シ因テ公共ノ危險ヲ生セシメタル者ハ一年以上十年以下ノ懲役ニ處ス
浸害シタル物自己ノ所有ニ係ルトキハ差押ヲ受ケ、物權ヲ負擔シ又ハ賃貸シ若クハ保險ニ付シタル場合ニ限リ前項ノ例ニ依ル
第百二十一條
水害ノ際防水用ノ物ヲ隱匿又ハ損壞シ若クハ其他ノ方法ヲ以テ水防ヲ妨害シタル者ハ一年以上十年以下ノ懲役ニ處ス
第百二十二條
過失ニ因リ溢水セシメテ第百十九條ニ記載シタル物ヲ浸害シタル者又ハ第百二十條ニ記載シタル物ヲ浸害シ因テ公共ノ危險ヲ生セシメタル者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス