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Page:NDL2947124 官報 1896年04月27日.pdf/17

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條及ヒ第七百四條ノ規定ニ從ヒ償金ヲ請求スルコトヲ得

第三節 共有
第二百四十九條
各共有者ハ共有物ノ全部ニ付キ其持分ニ應シタル使用ヲ爲スコトヲ得
第二百五十條
各共有者ノ持分ハ相均シキモノト推定ス
第二百五十一條
各共有者ハ他ノ共有者ノ同意アルニ非サレハ共有物ニ變更ヲ加フルコトヲ得ス
第二百五十二條
共有物ノ管理ニ關スル事項ハ前條ノ場合ヲ除ク外各共有者ノ持分ノ價格ニ從ヒ其過半數ヲ以テ之ヲ決ス但保存行爲ハ各共有者之ヲ爲スコトヲ得
第二百五十三條
各共有者ハ其持分ニ應シ管理ノ費用ヲ拂ヒ其他共有物ノ負擔ニ任ス
共有者カ一年內ニ前項ノ義務ヲ履行セサルトキハ他ノ共有者ハ相當ノ償金ヲ拂ヒテ其者ノ持分ヲ取得スルコトヲ得
第二百五十四條
共有者ノ一人カ共有物ニ付キ他ノ共有者ニ對シテ有スル債權ハ其特定承繼人ニ對シテモ之ヲ行フコトヲ得
第二百五十五條
共有者ノ一人カ其持分ヲ抛棄シタルトキ又ハ相續人ナクシテ死亡シタルトキハ其持分ハ他ノ共有者ニ歸屬ス
第二百五十六條
各共有者ハ何時ニテモ共有物ノ分割ヲ請求スルコトヲ得但五年ヲ超エサル期間內分割ヲ爲ササル契約ヲ爲スコトヲ妨ケス
此契約ハ之ヲ更新スルコトヲ得但其期間ハ更新ノ時ヨリ五年ヲ超ユルコトヲ得ス
第二百五十七條
前條ノ規定ハ第二百八條及ヒ第二百二十九條ニ揭ケタル共有物ニハ之ヲ適用セス
第二百五十八條
分割ハ共有者ノ協議調ハサルトキハ之ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ現物ヲ以テ分割ヲ爲スコト能ハサルトキ又ハ分割ニ因リテ著シク其價格ヲ損スル虞アルトキハ裁判所ハ其競賣ヲ命スルコトヲ得
第二百五十九條
共有者ノ一人カ他ノ共有者ニ對シテ共有ニ關スル債權ヲ有スルトキハ分割ニ際シ債務者ニ歸スヘキ共有物ノ部分ヲ以テ其弁濟ヲ爲サシムルコトヲ得
債權者ハ右ノ弁濟ヲ受クル爲メ債務者ニ歸スヘキ共有物ノ部分ヲ賣却スル必要アルトキハ其賣却ヲ請求スルコトヲ得
第二百六十條
共有物ニ付キ權利ヲ有スル者及ヒ各共有者ノ債權者ハ自己ノ費用ヲ以テ分割ニ參加スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リテ參加ノ請求アリタルニ拘ハラス其參加ヲ待タスシテ分割ヲ爲シタルトキハ其分割ハ之ヲ以テ參加ヲ請求シタル者ニ對抗スルコトヲ得ス
第二百六十一條
各共有者ハ他ノ共有者カ分割ニ因リテ得タル物ニ付キ賣主ト同シク其持分ニ應シテ擔保ノ責ニ任ス
第二百六十二條
分割カ結了シタルトキハ各分割者ハ其受ケタル物ニ關スル證書ヲ保存スルコトヲ要ス
共有者一同又ハ其中ノ數人ニ分割シタル物ニ關スル證書ハ其物ノ最大部分ヲ受ケタル者之ヲ保存スルコトヲ要ス
前項ノ場合ニ於テ最大部分ヲ受ケタル者ナキトキハ分割者ノ協議ヲ以テ證書ノ保存者ヲ定ム若シ協議調ハサルトキハ裁判所之ヲ指定ス
證書ノ保存者ハ他ノ分割者ノ請求ニ應シテ其證書ヲ使用セシムルコトヲ要ス
第二百六十三條
共有ノ性質ヲ有スル入會權ニ付テハ各地方ノ慣習ニ從フ外本節ノ規定ヲ適用ス
第二百六十四條
本節ノ規定ハ數人ニテ所有權以外ノ財產權ヲ有スル場合ニ之ヲ準用ス但法令ニ別段ノ定アルトキハ此限ニ在ラス
第四章 地上權
第二百六十五條
地上權者ハ他人ノ土地ニ於テ工作物又ハ竹木ヲ所有スル爲メ其土地ヲ使用スル權利ヲ有ス
第二百六十六條
地上權者カ土地ノ所有者ニ定期ノ地代ヲ拂フヘキトキハ第二百七十四條乃至第二百七十六條ノ規定ヲ準用ス
此他地代ニ付テハ賃貸借ニ關スル規定ヲ準用ス
第二百六十七條
第二百九條乃至第二百三十八條ノ規定ハ地上權者間又ハ地上權者ト土地ノ所有者トノ間ニ之ヲ準用ス但第二百二十九條ノ推定ハ地上權設定後ニ爲シタル工事ニ付テノミ之ヲ地上權者ニ準用ス
第二百六十八條
設定行爲ヲ以テ地上權ノ存續期間ヲ定メサリシ場合ニ於テ別段ノ慣習ナキトキハ地上權者ハ何時ニテモ其權利ヲ抛棄スルコトヲ得但地代ヲ拂フヘキトキハ一年前ニ豫吿ヲ爲シ又ハ未タ期限ノ至ラサル一年分ノ地代ヲ拂フコトヲ要ス
地上權者カ前項ノ規定ニ依リテ其權利ヲ抛棄セサルトキハ裁判所ハ當事者ノ請求ニ因リ二十年以上五十年以下ノ範圍內ニ於テ工作物又ハ竹木ノ種類及ヒ狀況其他地上權設定ノ當時ノ事情ヲ斟酌シテ其存續期間ヲ定ム
第二百六十九條
地上權者ハ其權利消滅ノ時土地ヲ原狀ニ復シテ其工作物及ヒ竹木ヲ收去スルコトヲ得但土地ノ所有者カ時價ヲ提供シテ之ヲ買取ルヘキ旨ヲ通知シタルトキハ地上權者ハ正當ノ理由ナクシテ之ヲ拒ムコトヲ得ス
前項ノ規定ニ異ナリタル慣習アルトキハ其慣習ニ從フ
第五章 永小作權
第二百七十條
永小作人ハ小作料ヲ拂ヒテ他人ノ土地ニ耕作又ハ牧畜ヲ爲ス權利ヲ有ス
第二百七十一條
永小作人ハ土地ニ永久ノ損害ヲ生スヘキ變更ヲ加フルコトヲ得ス
第二百七十二條
永小作人ハ其權利ヲ他人ニ讓渡シ又ハ其權利ノ存續期間內ニ於テ耕作若クハ牧畜ノ爲メ土地ヲ賃貸スルコトヲ得但設定行爲ヲ以テ之ヲ禁シタルトキハ此限ニ在ラス
第二百七十三條
永小作人ノ義務ニ付テハ本章ノ規定及ヒ設定行爲ヲ以テ定メタルモノノ外賃貸借ニ關スル規定ヲ準用ス
第二百七十四條
永小作人ハ不可抗力ニ因リ收益ニ付キ損失ヲ受ケタルトキト雖モ小作料ノ免除又ハ減額ヲ請求スルコトヲ得ス
第二百七十五條
永小作人カ不可抗力ニ因リ引續キ三年以上全ク收益ヲ得ス又ハ五年以上小作料ヨリ少キ收益ヲ得タルトキハ其權利ヲ抛棄スルコトヲ得
第二百七十六條
永小作人カ引續キ二年以上小作料ノ支拂ヲ怠リ又ハ破產ノ宣吿ヲ受ケタルトキハ地主ハ永小作權ノ消滅ヲ請求スルコトヲ得
第二百七十七條
前六條ノ規定ニ異ナリタル慣習アルトキハ其慣習ニ從フ
第二百七十八條
永小作權ノ存續期間ハ二十年以上五十年以下トス若シ五十年ヨリ長キ期間ヲ以テ永小作權ヲ設定シタルトキハ其期間ハ之ヲ五十年ニ短縮ス
永小作權ノ設定ハ之ヲ更新スルコトヲ得但其期間ハ更新ノ時ヨリ五十年ヲ超ユルコトヲ得ス
設定行爲ヲ以テ永小作權ノ存續期間ヲ定メサリシトキハ其期間ハ別段ノ慣習アル場合ヲ除ク外之ヲ三十年トス
第二百七十九條
第二百六十九條ノ規定ハ永小作權ニ之ヲ準用ス
第六章 地役權
第二百八十條
地役權者ハ設定行爲ヲ以テ定メタル目的ニ從ヒ他人ノ土地ヲ自己ノ土地ノ便益ニ供スル權利ヲ有ス但第三章第一節中ノ公ノ秩序ニ關スル規定ニ違反セサルコトヲ要ス
第二百八十一條
地役權ハ要役地ノ所有權ノ從トシテ之ト共ニ移轉シ又ハ要役地ノ上ニ存スル他ノ權利ノ目的タルモノトス但設定行爲ニ別段ノ定アルトキハ此限ニ在ラス
地役權ハ要役地ヨリ分離シテ之ヲ讓渡シ又ハ他ノ權利ノ目的ト爲スコトヲ得ス
第二百八十二條
土地ノ共有者ノ一人ハ其持分ニ付キ其土地ノ爲メニ又ハ其土地ノ上ニ存スル地役權ヲ消滅セシムルコトヲ得ス
土地ノ分割又ハ其一部ノ讓渡ノ場合ニ於テハ地役權ハ其各部ノ爲メニ又ハ其各部ノ上ニ存ス但地役權カ其性質ニ因リ土地ノ一部ノミニ關スルトキハ此限ニ在ラス
第二百八十三條
地役權ハ繼續且表現ノモノニ限リ時効ニ因リテ之ヲ取得スルコトヲ得
第二百八十四條
共有者ノ一人カ時効ニ因リテ地役權ヲ取得シタルトキハ他ノ共有者モ亦之ヲ取得ス
共有者ニ對スル時効中斷ハ地役權ヲ行使スル各共有者ニ對シテ之ヲ爲スニ非サレハ其効力ヲ生セス
地役權ヲ行使スル共有者數人アル場合ニ於テ其一人ニ對シテ時効停止ノ原因アルモ時効ハ各共有者ノ爲メニ進行ス
第二百八十五條
用水地役權ノ承役地ニ於テ水カ要役地及ヒ承役地ノ需要ノ爲メニ不足ナルトキハ其各地ノ需要ニ應シ先ツ之ヲ家用ニ供シ其殘餘ヲ他ノ用ニ供スルモノトス但設定行爲ニ別段ノ定アルトキハ此限ニ在ラス
同一ノ承役地ノ上ニ數個ノ用水地役權ヲ設定シタルトキハ後ノ地役權者ハ前ノ地役權者ノ水ノ使用ヲ妨クルコトヲ得ス
第二百八十六條
設定行爲又ハ特別契約ニ因リ承役地ノ所有者カ其費用ヲ以テ地役權ノ行使ノ爲メニ工作物ヲ設ケ又ハ其修繕ヲ爲ス義務ヲ負擔シタルトキハ其義務ハ承役地ノ所有者ノ特定承繼人モ亦之ヲ負擔ス
第二百八十七條
承役地ノ所有者ハ何時ニテモ地役權ニ必要ナル土地ノ部分ノ所有權ヲ地役權者ニ委棄シテ前條ノ負擔ヲ免ルルコトヲ得
第二百八十八條
承役地ノ所有者ハ地役權ノ行使ヲ妨ケサル範圍內ニ於テ其行使ノ爲メニ承役地ノ上ニ設ケタル工作物ヲ使用スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ承役地ノ所有者ハ其利益ヲ受クル割合ニ應シテ工作物ノ設置及ヒ保存ノ費用ヲ分擔スルコトヲ要ス
第二百八十九條
承役地ノ占有者カ取得時効ニ必要ナル條件ヲ具備セル占有ヲ爲シタルトキハ地役權ハ之ニ因リテ消滅ス
第二百九十條
前條ノ消滅時効ハ地役權者カ其權利ヲ行使スルニ因リテ中斷ス
第二百九十一條
第百六十七條第二項ニ規定セル消滅時効ノ期間ハ不繼續地役權ニ付テハ最後ノ行使ノ時ヨリ之ヲ起算シ繼續地役權ニ付テハ其行使ヲ妨クヘキ事實ノ生シタル時ヨリ之ヲ起算ス
第二百九十二條
要役地カ數人ノ共有ニ屬スル場合ニ於テ其一人ノ爲メニ時効ノ中斷又ハ停止アルトキハ其中斷又ハ停止ハ他ノ共有者ノ爲メニモ其効力ヲ生ス
第二百九十三條
地役權者カ其權利ノ一部ヲ行使セサルトキハ其部分ノミ時効ニ因リテ消滅ス
第二百九十四條
共有ノ性質ヲ有セサル入會權ニ付テハ各地方ノ慣習ニ從フ外本章ノ規定ヲ準用ス
第七章 留置權
第二百九十五條
他人ノ物ノ占有者カ其物ニ關シテ生シタル債權ヲ有スルトキハ其債權ノ弁濟ヲ受クルマテ其物ヲ留置スルコトヲ得但其債權カ弁濟期