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Page:NDL2947124 官報 1896年04月27日.pdf/13

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款ニ定メタル方法ニ從ヒテ之ヲ爲スコトヲ要ス

第六十三條 
社團法人ノ事務ハ定款ヲ以テ理事其他ノ役員ニ委任シタルモノヲ除ク外總テ總會ノ決議ニ依リテ之ヲ行フ
第六十四條 
總會ニ於テハ第六十二條ノ規定ニ依リテ豫メ通知ヲ爲シタル事項ニ付テノミ決議ヲ爲スコトヲ得但定款ニ別段ノ定アルトキハ此限ニ在ラス
第六十五條 
各社員ノ表決權ハ平等ナルモノトス
總會ニ出席セサル社員ハ書面ヲ以テ表決ヲ爲シ又ハ代理人ヲ出タスコトヲ得
前二項ノ規定ハ定款ニ別段ノ定アル場合ニハ之ヲ適用セス
第六十六條 
社團法人ト或社員トノ關係ニ付キ議決ヲ爲ス場合ニ於テハ其社員ハ表決權ヲ有セス
第六十七條 
法人ノ業務ハ主務官廳ノ監督ニ屬ス
主務官廳ハ何時ニテモ職權ヲ以テ法人ノ業務及ヒ財產ノ狀況ヲ檢査スルコトヲ得
第三節 法人ノ解散
第六十八條 
法人ハ左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 定款又ハ寄附行爲ヲ以テ定メタル解散事由ノ發生
二 法人ノ目的タル事業ノ成功又ハ其成功ノ不能
三 破產
四 設立許可ノ取消
社團法人ハ前項ニ揭ケタル場合ノ外左ノ事由ニ因リテ解散ス
一 總會ノ決議
二 社員ノ缺亡
第六十九條 
社團法人ハ總社員ノ四分ノ三以上ノ承諾アルニ非サレハ解散ノ決議ヲ爲スコトヲ得ス但定款ニ別段ノ定アルトキハ此限ニ在ラス
第七十條 
法人カ其債務ヲ完濟スルコト能ハサルニ至リタルトキハ裁判所ハ理事若クハ債權者ノ請求ニ因リ又ハ職權ヲ以テ破產ノ宣吿ヲ爲ス
前項ノ場合ニ於テ理事ハ直チニ破產宣吿ノ請求ヲ爲スコトヲ要ス
第七十一條 
法人カ其目的以外ノ事業ヲ爲シ又ハ設立ノ許可ヲ得タル條件ニ違反シ其他公益ヲ害スヘキ行爲ヲ爲シタルトキハ主務官廳ハ其許可ヲ取消スコトヲ得
第七十二條 
解散シタル法人ノ財產ハ定款又ハ寄附行爲ヲ以テ指定シタル人ニ歸屬ス
定款又ハ寄附行爲ヲ以テ歸屬權利者ヲ指定セス又ハ之ヲ指定スル方法ヲ定メサリシトキハ理事ハ主務官廳ノ許可ヲ得テ其法人ノ目的ニ類似セル目的ノ爲メニ其財產ヲ處分スルコトヲ得但社團法人ニ在リテハ總會ノ決議ヲ經ルコトヲ要ス
前二項ノ規定ニ依リテ處分セラレサル財產ハ國庫ニ歸屬ス
第七十三條 
解散シタル法人ハ淸算ノ目的ノ範圍內ニ於テハ其淸算ノ結了ニ至ルマテ尙ホ存續スルモノト看做ス
第七十四條 
法人カ解散シタルトキハ破產ノ場合ヲ除ク外理事其淸算人ト爲ル但定款若クハ寄附行爲ニ別段ノ定アルトキ又ハ總會ニ於テ他人ヲ選任シタルトキハ此限ニ在ラス
第七十五條 
前條ノ規定ニ依リテ淸算人タル者ナキトキ又ハ淸算人ノ缺ケタル爲メ損害ヲ生スル虞アルトキハ裁判所ハ利害關係人若クハ檢事ノ請求ニ因リ又ハ職權ヲ以テ淸算人ヲ選任スルコトヲ得
第七十六條 
重要ナル事由アルトキハ裁判所ハ利害關係人若クハ檢事ノ請求ニ因リ又ハ職權ヲ以テ淸算人ヲ解任スルコトヲ得
第七十七條 
淸算人ハ破產ノ場合ヲ除ク外解散後一週間內ニ其氏名、住所及ヒ解散ノ原因、年月日ノ登記ヲ爲シ又何レノ場合ニ於テモ之ヲ主務官廳ニ屆出ツルコトヲ要ス
淸算中ニ就職シタル淸算人ハ就職後一週間內ニ其氏名、住所ノ登記ヲ爲シ且ツ之ヲ主務官廳ニ屆出ツルコトヲ要ス
第七十八條 
淸算人ノ職務左ノ如シ
一 現務ノ結了
二 債權ノ取立及ヒ債務ノ弁濟
三 殘餘財產ノ引渡
淸算人ハ前項ノ職務ヲ行フ爲メニ必要ナル一切ノ行爲ヲ爲スコトヲ得
第七十九條 
淸算人ハ其就職ノ日ヨリ二个月內ニ少クトモ三回ノ公吿ヲ以テ債權者ニ對シ一定ノ期間內ニ其請求ノ申出ヲ爲スヘキ旨ヲ催吿スルコトヲ要ス但其期間ハ二个月ヲ下ルコトヲ得ス
前項ノ公吿ニハ債權者カ期間內ニ申出ヲ爲ササルトキハ其債權ハ淸算ヨリ除斥セラルヘキ旨ヲ附記スルコトヲ要ス但淸算人ハ知レタル債權者ヲ除斥スルコトヲ得ス
淸算人ハ知レタル債權者ニハ各別ニ其申出ヲ催吿スルコトヲ要ス
第八十條 
前條ノ期間後ニ申出テタル債權者ハ法人ノ債務完濟ノ後未タ歸屬權利者ニ引渡ササル財產ニ對シテノミ請求ヲ爲スコトヲ得
第八十一條 
淸算中ニ法人ノ財產カ其債務ヲ完濟スルニ不足ナルコト分明ナルニ至リタルトキハ淸算人ハ直チニ破產宣吿ノ請求ヲ爲シテ其旨ヲ公吿スルコトヲ要ス
淸算人ハ破產管財人ニ其事務ヲ引渡シタルトキハ其任ヲ終ハリタルモノトス
本條ノ場合ニ於テ既ニ債權者ニ支拂ヒ又ハ歸屬權利者ニ引渡シタルモノアルトキハ破產管財人ハ之ヲ取戾スコトヲ得
第八十二條 
法人ノ解散及ヒ淸算ハ裁判所ノ監督ニ屬ス
裁判所ハ何時ニテモ職權ヲ以テ前項ノ監督ニ必要ナル檢査ヲ爲スコトヲ得
第八十三條 
淸算カ結了シタルトキハ淸算人ハ之ヲ主務官廳ニ屆出ツルコトヲ要ス
第四節 罰則
第八十四條 
法人ノ理事、監事又ハ淸算人ハ左ノ場合ニ於テハ五圓以上二百圓以下ノ過料ニ處セラル
一 本章ニ定メタル登記ヲ爲スコトヲ怠リタルトキ
二 第五十一條ノ規定ニ違反シ又ハ財產目錄若クハ社員名簿ニ不正ノ記載ヲ爲シタルトキ
三 第六十七條又ハ第八十二條ノ場合ニ於テ主務官廳又ハ裁判所ノ檢査ヲ妨ケタルトキ
四 官廳又ハ總會ニ對シ不實ノ申立ヲ爲シ又ハ事實ヲ隱蔽シタルトキ
五 第七十條又ハ第八十一條ノ規定ニ反シ破產宣吿ノ請求ヲ爲スコトヲ怠リタルトキ
六 第七十九條又ハ第八十一條ニ定メタル公吿ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ不正ノ公吿ヲ爲シタルトキ
第三章 物
第八十五條 
本法ニ於テ物トハ有體物ヲ謂フ
第八十六條 
土地及ヒ其定著物ハ之ヲ不動產トス
此他ノ物ハ總テ之ヲ動產トス
無記名債權ハ之ヲ動產ト看做ス
第八十七條 
物ノ所有者カ其物ノ常用ニ供スル爲メ自己ノ所有ニ屬スル他ノ物ヲ以テ之ニ附屬セシメタルトキハ其附屬セシメタル物ヲ從物トス
從物ハ主物ノ處分ニ隨フ
第八十八條 
物ノ用方ニ從ヒ收取スル產出物ヲ天然果實トス
物ノ使用ノ對價トシテ受クヘキ金錢其他ノ物ヲ法定果實トス
第八十九條 
天然果實ハ其元物ヨリ分離スル時ニ之ヲ收取スル權利ヲ有スル者ニ屬ス
法定果實ハ之ヲ收取スル權利ノ存續期間日割ヲ以テ之ヲ取得ス
第四章 法律行爲
第一節 總則
第九十條 
公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ニ反スル事項ヲ目的トスル法律行爲ハ無効トス
第九十一條 
法律行爲ノ當事者カ法令中ノ公ノ秩序ニ關セサル規定ニ異ナリタル意思ヲ表示シタルトキハ其意思ニ從フ
第九十二條 
法令中ノ公ノ秩序ニ關セサル規定ニ異ナリタル慣習アル場合ニ於テ法律行爲ノ當事者カ之ニ依ル意思ヲ有セルモノト認ムヘキトキハ其慣習ニ從フ
第二節 意思表示
第九十三條 
意思表示ハ表意者カ其眞意ニ非サルコトヲ知リテ之ヲ爲シタル爲メ其効力ヲ妨ケラルルコトナシ但相手方カ表意者ノ眞意ヲ知リ又ハ之ヲ知ルコトヲ得ヘカリシトキハ其意思表示ハ無効トス
第九十四條 
相手方ト通シテ爲シタル虛僞ノ意思表示ハ無効トス
前項ノ意思表示ノ無効ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ對抗スルコトヲ得ス
第九十五條 
意思表示ハ法律行爲ノ要素ニ錯誤アリタルトキハ無効トス但表意者ニ重大ナル過失アリタルトキハ表意者自ラ其無効ヲ主張スルコトヲ得ス
第九十六條 
詐欺又ハ强迫ニ因ル意思表示ハ之ヲ取消スコトヲ得
或人ニ對スル意思表示ニ付キ第三者カ詐欺ヲ行ヒタル場合ニ於テハ相手方カ其事實ヲ知リタルトキニ限リ其意思表示ヲ取消スコトヲ得
詐欺ニ因ル意思表示ノ取消ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ對抗スルコトヲ得ス
第九十七條 
隔地者ニ對スル意思表示ハ其通知ノ相手方ニ到達シタル時ヨリ其効力ヲ生ス
表意者カ通知ヲ發シタル後ニ死亡シ又ハ能力ヲ失フモ意思表示ハ之カ爲メニ其効力ヲ妨ケラルルコトナシ
第九十八條 
意思表示ノ相手方カ之ヲ受ケタル時ニ未成年者又ハ禁治產者ナリシトキハ其意思表示ヲ以テ之ニ對抗スルコトヲ得ス但其法定代理人カ之ヲ知リタル後ハ此限ニ在ラス
第三節 代理
第九十九條 
代理人カ其權限內ニ於テ本人ノ爲メニスルコトヲ示シテ爲シタル意思表示ハ直接ニ本人ニ對シテ其効力ヲ生ス
前項ノ規定ハ第三者カ代理人ニ對シテ爲シタル意思表示ニ之ヲ準用ス
第百條 
代理人カ本人ノ爲メニスルコトヲ示サスシテ爲シタル意思表示ハ自己ノ爲メニ之ヲ爲シタルモノト看做ス但相手方カ其本人ノ爲メニスルコトヲ知リ又ハ之ヲ知ルコトヲ得ヘカリシトキハ前條第一項ノ規定ヲ準用ス
第百一條 
意思表示ノ効力カ意思ノ缺缺、詐欺、强迫又ハ或事情ヲ知リタルコト若クハ之ヲ知ラサル過失アリタルコトニ因リテ影響ヲ受クヘキ場合ニ於テ其事實ノ有無ハ代理人ニ付キ之ヲ定ム
特定ノ法律行爲ヲ爲スコトヲ委託セラレタル場合ニ於テ代理人カ本人ノ指圖ニ從ヒ其行爲ヲ爲シタルトキハ本人ハ其自ラ知リタル事情ニ付キ代理人ノ不知ヲ主張スルコトヲ得ス其過失ニ因リテ知ラサリシ事情ニ付キ亦同シ
第百二條 
代理人ハ能力者タルコトヲ要セス
第百三條 
權限ノ定ナキ代理人ハ左ノ行爲ノミヲ爲ス權限ヲ有ス
一 保存行爲
二 代理ノ目的タル物又ハ權利ノ性質ヲ變セサル範圍內ニ於テ其利用又ハ改良ヲ目的トスル行爲