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は、国民ぜんたいの代表者です。それで、国会議員を選挙することは、国民の大事な権利で、また大事なつとめです。国民はぜひ選挙にでてゆかなければなりません。選挙にゆかないのは、この大事な権利をすててしまうことであり、また大事なつとめをおこたることです。選挙にゆかないことを、ふつう「棄権」といいます。これは、権利をすてるという意味です。国民は棄権してはなりません。みなさんも、いまにこの権利をもつことになりますから、選挙のことは、とくにくわしく書いておいたのです。

 国会は、このようにして、国民がえらんだ議員があつまって、国のことをきめるところですが、ほかの役所とちがって、国会で、議員が、国の仕事をしているありさまを、国民が知ることができるのです。国民はいつでも、国会へ行って、これを見たりきいたりすることができるのです。また、新聞やラジオにも国会のことがでます。

 つまり、国会での仕事は、国民の目の前で行われるのです。憲法は、国会はいつでも、国民に知れるようにして、仕事をしなければならないときめているのです。これはたいへん大事なことです。もし、まれな場合ですが秘密に会議を開こうとするときは、むずかしい手つゞきがいります。

 これで、どういうふうに国が治められてゆくのか、どんなことが国でおこっているのか、国民のえらんだ議員が、どんな意見を国会でのべているかというようなことが、みんな国民にわかるのです。

 国の仕事の正しい明かるいやりかたは、こゝからうまれてくるのです。国会がなくなれば、国の中がくらくなるのです。民主主義は明かるいやりかたです。国会は、民主主義にはなくてはならないものです。

 日本の国会は、年中開かれているものではありません。しかし、毎年一回はかならず開くことになっています。これを「常会」といいます。常会は百五十日間ときまっています。これを国会の「会期」といいます。このほかに、必要のあるときは、臨時に国会を開きます。これを「臨時会」といいます。また、衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、選挙を行い、その選挙の日から三十日以内に、あたらしい国会が開かれます。これを「特別会」といいます。臨時会と特別会の会期は、国会がじぶんできめます。また国会の会期は、必要のあるときは、延ばすことができます。それも国会がじぶんできめるのです。国会を開くには、国会議員をよび集めなけ