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気がしましたか。いまのうちに、よく勉強して、国を治めることや、憲法のことなどを、よく知っておいてください。もうすぐみなさんも、おにいさんやおねえさんといっしょに、国のことを、じぶんできめてゆくことができるのです。みなさんの考えとはたらきで国が治まってゆくのです。みんながなかよく、じぶんで、じぶんの国のことをやってゆくくらい、たのしいことはありません。これが民主主義というものです。

三 国際平和主義

 国の中で、国民ぜんたいで、物事をきめてゆくことを、民主主義といいましたが、国民の意見は、人によってずいぶんちがっています。しかし、おゝぜいのほうの意見に、すなおにしたがってゆき、またそのおゝぜいのほうも、すくないほうの意見をよくきいてじぶんの意見をきめ、みんなが、なかよく国の仕事をやってゆくのでなけれは、民主主義のやりかたは、なりたたないのです。

 これは、一つの国について申しましたが、国と国との間のことも同じことです。じぶんの国のことばかりを考え、じぶんの国のためばかりを考えて、ほかの国の立場を考えないでは、世界中の国が、なかよくしてゆくことはできません。世界中の国が、いくさをしないで、なかよくやってゆくことを、国際平和主義といいます。だから民主主義ということは、この国際平和主義と、たいへんふかい関係があるのです。こんどの憲法で民主主義のやりかたをきめたからには、またほかの国にたいしても国際平和主義でやってゆくということになるのは、あたりまえであります。この国際平和主義をわすれて、じぶんの国のことばかり考えていたので、とうとう戦争をはじめてしまったのです。そこであたらしい憲法では、前文の中に、