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 ところが前にも申上げた通り現在立法院が存在して居ないのでありますから、形式的の法律は全然存在して居らないのであります。それでは法律を以て規定しなければならない事項に關し規定を設くる場合、現在どうして居るかと申しますれば、組織法第八條の緊急勅令に據る事も得ませんので別に組織法附則第四十一條を設け立法院が成立する迄皇帝は參議府の諮詢を經て法律と同一の效力を有する勅命を發布し、豫算を定め及豫算外國庫の負擔となるべき契約を爲す事を得る事に致して居るのであります。此の第四十一條に依つて發せらるる勅令は普通の大權に依り發せらるる勅令と異り其の上諭に「組織法第四十一條に依り參議府の諮詢を經て…… 」の文字を入るる事になつて居ります。第八條に依る緊急勅令も現在では總て此の第四十一條に依る事になる譯であります。

 最後に帝政を施いて以來の滿洲國と以前の滿洲國との法制上の差異を要約して申上ぐれば

 (イ)以前の民主制を廢して君主制にしたる事

 (ロ)君主を神聖不可侵とし別に輔弼負責機關を設けたる事

 (ハ)軍令事務を一般國務の外に置き別に輔弼機關を設けたる事

 等が差異の重なるものと申す事が出來ませう。

 帝制確立し組織法の制定公布と共に前にも申上げました通以前の政府組織法は廢止せられました。