丸を嚥む勿れ、〔獄火に〕燒かれて「苦し」と叫ぶこと勿れ。
372
智なきものに禪なく、禪なきものには智なし、若し人に禪と智とあらば、彼は涅槃に近づけるなり。
373
空屋に入りて、心を寂靜にしたる比丘、正しく法を觀察せば、其の樂人界の上に出づ。
374
〔人若し〕種種の方によりて、諸薀の起滅を思念すれ
ば、〔法〕喜、〔法〕悅を得、是れ智者の、甘露味とする所なり。
375 376
此處に之は此の敎に於て、智ある比丘の先づ爲すべきことなり、諸根を防護し、足ることを知り、戒を以て〔自ら〕攝す、善良なる友の、淸淨に生活し、精勤なるものと交れ、慈悲を行ひ、義務を全うせよ。其より歡喜多くして苦惱を盡すに至らん。
377
凋みたる(9)拔師迦草の華を棄つるが如く、然く貪欲と瞋恚とを棄てよ、諸比丘。
378
身を靜かにし、語を靜にし、寂靜安定にして世樂を棄てたる比丘、之を安息の〔人〕と云ふ。
379
己れ己を誡め、己れ己を檢めよ、比丘よ、斯く〔せば汝は〕自ら防護し、正念ありて、安穩に住せん。
380
げに己は己の主、げに己は己の依所なり、されば、己を調御すること、商估の良馬を〔調御する〕が如くせよ。
381
歡喜多く、佛の敎に悅べる比丘は、靜隱の地、諸行の息止・安樂を得ん。