349
疑念のために心惱み、欲熾にして、不淨を淨と見る人は、其の愛念益益增長す、斯る人は〔其の〕縛を堅くするなり。
350
疑念の滅を喜び、常に念覺ありて、不淨觀を修す、彼は〔其の〕愛念を滅さん、彼は魔の縛を斷たん。
351
(5)圓成の域に達し、怖畏なく、愛を離れ、著なく、生有の棘を斷てり、是れ其の最後身なり。
352
愛を離れ、著を去り、(6)詞句に巧に、(7)綴りたる文字と、其の前後とを解す。彼は(8)最後身にして、大智者大丈夫と稱せらる。
353
(9)〔我〕所有ゆるものに克ち、所有ゆるものを知り、所有ゆる法に於て汙さるる所なし、所有ゆるものを棄て、(10)愛盡の上に於て解脫を得たり。自ら證り知りて、又誰をか〔師と〕仰がんや。
354
法施は、所有ゆる施に勝ち、法味は、所有ゆる味に勝ち、法樂は、所有ゆる樂に勝ち、愛盡は、所有ゆる苦に勝つ。
355
財は劣智の人を害へども(11)度脫を求むる人を〔害ふこと〕なし、財欲のために無智者は其の身を害ふこと、〔猶ほ〕他を〔害ふ〕が如し。
356
田は惡草のために損はれ、此の羣生は貪欲のために損はる、されば離欲の人に施せる〔物〕には、大果報あり。
357
田は惡草のために損はれ、此の羣生は瞋恚のために損はる、されば離瞋の人に施せる〔物〕に