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163 不善ふぜんにして、おのれ不利ふりなることやすく、ことありてぜんなる、きはめてがたし。

164 應供者おうぐしや聖者しやうじやみちによりてくるひとをしへを、邪惡じやあくけんりてそしひとは、(1)葦草ゐさうくわの、おのれほろぼすためにみのるがごとし。

165 みづかあくせばみづかけがれ、みづかあくさざればみづかきよし、じやう不淨ふじやうともおのれにあり、みづかきよくすることあたはず。

166 他人たにんつとめだいなりとも、ためおのれつとめわするることなかれ、おのれつとめべんしてのちおのれつとめ專心せんしんなるべし。

(1) 葦は花を著け實を結べば自ら死するなり。


世閒品せけんほんだい十三

167 いやしほふほうぜざれ、放逸はういつともまざれ、邪見じやけんしたがはざれ、世事せじ增長ぞうちやうせしめざれ。

168 て、放逸はういつなるなかれ、善行ぜんぎやうほふしゆせよ、隨法行ずゐほふぎやうひとたのしす、今世こんせにも來世らいせにも。

169 善行ぜんぎやうほふしゆして、惡行あくぎやう〔のほふ〕をしゆせざれ、隨法行ずゐほふぎやうひとたのしす、今世こんせにも來世らいせにも。

170 泡沫はうまつごとくによ、陽炎かげろうごとくによ、かくごと世界せかいるものは、死王しわうこれることあたはず。

171 かざりありて、王車わうしやたる世界せかいきたよ、愚者ぐしやこれまよへども、智者ちしやこれぢやくすることなし。