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Page:Inpukyo 1912.djvu/19

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聖人自然の道の違ふ可らざるを知る。故に自然に從ひて以て之を制す。至靜の道即ち天の道は律歷の如き精數も能く契合する能はざる所あり。故に名けて奇器と謂ふ。一切萬象の生ずる所り。八卦、十干、十二支の理の如き、神の機に動き鬼の藏する如き、凡そ陰陽相勝の術、皆形而上の妙理。之を耳目の間に求めんとするは抑も難し。
以上は陰符經の大網り。今其の要點一二を舉げんに左の如し。
一、凡そ世に處するには何事に依らず心を靜かにし、其理を觀察すべし。莊子の養生主、亦此意に外ならず。二、事物は必ず其裏面より之を觀察するを要す。禍中福あり。福中禍あり。之を知りて修養するを大人とす。困難に逢ふて捲土重來の勢を呼び