Page:Iki-no-Kozo.djvu/71

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面および底面上にて對角線によつて結付けられた頂點に位置を占むる趣味は相對立する一對を示す。もとより何と何とを一對として考へるかは絕對的には決定されてゐない。上面と底面に於て、正方形の各邊によつて結付けられた頂點(例へば意氣と澁味)、側面の矩形に於て、對角線によつて結付けられた頂點(例へば意氣と派手)、直六面體の側稜によつて結付けられた頂點(例へば意氣と上品)、直六面體の對角線によつて結付けられた頂點(例へば意氣と下品)、これらのものは常に何等かの對立を示してゐる。卽ち、總ての頂點は互ひに對立關係に立つことが出來る。上面と底面に於て、正方形の對角線によつて對立する頂點はそのうちで對立性の最も顯著なものである。その對立の原理とし