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Page:Iki-no-Kozo.djvu/109

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これら種々の特殊な制約を全󠄃く離れて、兩者の縞模樣としての絕對價値に就て判󠄄斷がなされなければならない。なほ、縱縞のうちでは萬筋、千筋の如く細密を極めたものや、子持縞、やたら縞の如く筋の大小廣狹に餘り變化󠄃の多いものは、平󠄃行線としての二元性が明瞭を缺くために「いき」の效果を十分󠄃に奏しない。「いき」であるためには、縞が適󠄃宜の荒󠄃さと單純さとを備へて、二元性が明晰に把握されることが肝要󠄃である。

 垂直の平󠄃行線と水平󠄃の平󠄃行線とが結合した場合に、模樣として縱橫縞が生じて來る。縱橫縞は槪して縱縞よりも橫縞よりも「いき」でない。平󠄃行線の把握が容易の度を減じたからである。縱橫縞のうちでも縞の荒󠄃いいはゆる碁盤縞は「いき」の表現であ