Page:Hokkaido Dojin Tsugo.pdf/14

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〈此語多く警察官吏が土人を糺問するに用ゆるなり〉 マカ(ひらく) アシ(とづ) ヱヤイ、子ンコロワ、ヱンコレー(周旋依賴せわをしてくれんか) コワシ(破損こわれる) チヤランケ(談判かけあい) イカシマ(餘剩あまる) カラ(製造こしらへる) オテシバ(うごかす) タノコラ、ヱレウシカ、ヱンコレー(今夜こんや宿泊とめて依賴ください

附言

土人の言辭ことばは至て少なし、類似によりの者槪ね一語にて足れり、例へば大も、多も、廣も、厚も(ポロ)小も、少も、薄も、幼も、微も(ポン)美も、善も、珍も(ピリカ)といふが如し、故にづ右に記載しるせる數事かづ丸呑まるのみにしてけば、縱令如何なる山奧へ行くも、决して土人に馬鹿にされたり、又意思相通ぜずといふことなく、其上尙いろの言を覺ばんには、頗る容易たやす出來でき得るなり、加之土人の言辭ことばは、和語や、漢語や、洋語の如く、綴方つヾりかたに別に法則きまりあるにあらず、どれでも本文の語を一つはせるときは、それが一つの言辭ことばとはなる譬へば

ぴりかめのこと、となせのもころ
  ぬしやツた、ぱすくる、ちしこらす

といふが如く、まこと雜作ぞふさ至極の限りにこそあるなり