敦盛敦盛(あつもり)も亦知章と同齡(どうれい)なり。知盛の舟を望みて之を馳せ、熊谷直實に獲(とら)はる。是日直實、曉を冐(をか)して西門に向ふ。城上に笛聲あるを聞きしが、敦盛を獲るに及びて其腰に笛を揷めるを見る。念(おも)ふに嚮(さき)に聞きし所のものは是なりと。乃首を義經に請ひ、其笛を併(あは)せて、之を經盛に歸(おく)る。義經、諸の首虜を以て、歸りて法皇に献ず。