Page:Gunshoruiju27.djvu/336

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おこしたれば。うちにかきたる梅のおり枝などのけざやかにみえたるこそおかしけれ。火ばしのいときはやかにきらめきて。すぢかひてたちたるもおかし。おほかた火はともさで木丁をしやりて。ひるはさしもむかはぬ人なれど。うちのかたにそひふしたるうしろつきなどのよさあしさはしらず心にくし。夏すのこに火ともしたるうちこそ心にくけれ。木丁のひとへうちかけて人のふしたるをさしのぞきてみたるいと心にくし。

きたなき物。殿上のがうし合子。なめくぢ。みゝず。

ふと心おとりしてわろくおぼゆる物。こと葉わろくこはづかひあやしき人のいやしきこともさとはしりながら。ことさらにいひたるはとみゆるは。されどさしもあらす。わがもといひつけたりけることばをなだらかにふとつゝみもなくうちいでたるは。あさましきわざなり。又さしもあるまじくおいたる人のわざとつくろひ。ことさらびたるもにくし。まさなくあやしき事をとしなどおとななる人は。まのもなくいひたるを。わかきひとはいみじうかたはらいたきことにきえいり思ひたるこそさるべき事なれ。

ないがしろなる物。女官のかみあげすがた。かはのひじりの物いひ。

夜まさりする物。こきかいねり。むしりたるわた。ひたひはれてかみうるはしき人。かたちわろき人のけはひよき。きむの聲。

ほかげ火影おとりする物。ふぢの花。むらさきのをり物。すべてその色の物はさぞある。くれなゐのは。月夜こそわろき。

さはがしき物。いたやのうへにとぎさば散飯うちあげたる。なまけしからぬ人のゑひたる。あま夜の夢。つじかぜ。せんざいやくとて火つけ