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し
かへるへき春をたのむの鴈かねもなきてや旅の空に出にし
かゝるほどに神無月の廿日あまりの比。はからざるにとみの事ありて都へかへるべきになりぬ。其こゝろのうち水ぐきのあとにもかきながしがたし。錦をきるさかひはもとよりのぞむ處にあらねども。故鄕にかへるよろこびは朱買臣にあひにたるこゝちす。
故鄕へ歸る山ちのこからしにおもはぬほかの錦をやきむ
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かへるへき春をたのむの鴈かねもなきてや旅の空に出にし
かゝるほどに神無月の廿日あまりの比。はからざるにとみの事ありて都へかへるべきになりぬ。其こゝろのうち水ぐきのあとにもかきながしがたし。錦をきるさかひはもとよりのぞむ處にあらねども。故鄕にかへるよろこびは朱買臣にあひにたるこゝちす。
故鄕へ歸る山ちのこからしにおもはぬほかの錦をやきむ