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Page:Gunshoruiju17.djvu/161

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せにけり。

昔男。いかなる事を思ひけるおりにか一本ありけん。

 思ふこといはてそたゝにやみぬへき我と等しき人しなけれは

昔男。みやこをいかゞ思ひけん。ひんがし山にすまんとおもひ。いきて。

 住わひぬ今はかきりの山里に身をかくすへき宿もとめてん

なんどよみをりけるに。物いたうやみてしに入たりければ。おもてに水そゝぎなどしければ一本いきいでて。

 我うへに露そをくなる天の河とわたる舟のかひのしつくか よみ人しらす古今

といひてぞいき出たりける。まことにかぎりになりける時。

 つゐに行道とかねはて聞しかと昨日けふとは思はさりしを

とてなむたえいりにけり

此本高二位本。朱雀院のぬりごめにをさまれりとぞ。

伊勢物語可祕々々

這伊勢物語者。京極黃門定家卿息女。民部卿局之眞翰無疑者也。 寬文四〈甲辰〉初冬

冷泉左中將爲淸


右朱雀院塗籠御本伊勢物語一卷以森山孝盛所藏民部卿局眞跡本書寫一挍而雖假名遣不一樣誤字脫文亦不少不輙改之一依原本但衍文處々加爪印畢