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九日。石氏と慈惠院 Charité を巡視す。一等軍醫ゾンメル Sommer 婦人室を監す。昨年の軍醫會にて余と相見たることあり。シヤイベ此日より石氏の許に來りて陸軍醫務を講ず。余と谷口と舌人たり。

十一日。石氏に隨ひて諸官員の宅を訪ふ。

十二日。野田會計監督の許に赴き、獨逸計吏某の軍醫部定額金の事を講ずるを聞く。此講は二三日を費して終るべし。

十三日。家書至る。

十六日。定額金の事を聽き畢る。

十七日。石氏に隨ひてモアビツト Moabit なる市病院を觀る。院長グツトマン Guttmann と話す。口吻俗醫に類す。說く所學理に合はざることあり。花卉を病院內に置きて、其衞生上の利益鴻大なること、特り病者の目を娛ましむるのみならずと云ふが若き、卽是なり。

十九日。石氏と第一衞戍病院を觀る。院はシヤルンホルスト街 Scharnhorststrasse に在り。一等軍醫ヱルネル Werner 引接す。老實の士なり。

二十日。隈川來る。俱に片山國嘉の居を訪ふ。日本食の饗あり。山川の兒亦在り。      ゛

二十三日。名倉幸作伯林を發してヴユルツブルク Wuerzburg に赴く。ロオト索遜より來る。紅海亭 (Restaurant zum rothen Meer; Friedrichstrasse, Rosmarinstrasse Ecke) に會す。曰ふ。直に東普魯西に向ひて發すと。副醫官ブルダハ Burdach の居を訪ふなり。送りて停車塲に至る。別に臨みて新刊年報一部を贈らる。我文を載す。

二十六日。石氏とシヤイベの家に晚餐す。其夫人と相識る。

二十七日。石氏と同居する所の佛國婦人某氏と俱にペルガモン總視畫舘 Pergamon-Panorama を觀る。畫堂は博覽會苑の裡に在り。ペルガモンスミルナ Smyrna の