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Page:Danpen Hagiwara KyojiroShishu.djvu/28

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彼は虛僞者を絕滅せしむることを欲望した
欲望は自由勝手に飢ゑ自由勝手に渴する
欲望は身輕るで欲したいものを欲す
どんなものにも理由なく欲しない限り止らない。


斷 片 20


海のやうな量の中に小さい鼓動が刻まれてゐるのだ
知らぬ間にあたたまりゆく海水があつたのだ
その水が沸騰するやうに熱して來たのだ
何時の間にか手も指し込めなくなつてゐるのだ。