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戰雲暗澹として我地平線上を蔽ふと雖、吾人は信ず、平和の天使の翼の能く之を排せんことを。世界の歷史は、『柔和なる者は、地を嗣ぐことを得べし』との預言を證す。噫、憫むべきかな、平和の長子權を鬻ぎ、又た實業主義の前陣を棄てゝ、侵畧主義の殿陣に下るの國家の、因つて招くべき損耗果して幾許ぞや。
社會の狀態の變化して、啻に武士道と背馳するのみならず、又た之を敵とするに至りたるに當り、今や即ち此れが名譽ある葬送の備をなすべきの時なり。武士道の死時を知るの難きは、其生時を明かにするの難きが如し。ミラー博