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ざるを機とし、曾て多次家庭の談話に於て與へたる答解を記述したるもの、即ち此書の骨子を成し、其據る所は主として、封建思想の猶ほ旺盛なりし時、予が少年の日に當りて示敎を受けたるものに係る。

 彼れには小泉八雲氏及びフレエザー夫人あり、此れには又たサア、アーネスト、サトウ及びチヤンバレン敎授あるの中間に立ち、英語を以て日本に關する述作を成さんは、盖し躊躇失望すべきものあり。唯だ予の此等著名の文士に一日の長ある所は、氏等の畢竟辯護士たり、檢事たるに過ぎざるに反し、予は自國人として抗吿者の地位に在るを得ること是れなり。予屢ば思へらく、若し予にして、諸氏に等しき語學の才能あらんには、更に雄辯明確なる言語を以て、日本