Page:Arai hakuseki zenshu 4.djvu/801

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〈らず、地方、北に近くして、氣候寒多し、されど土壤肥衍にして、庶物豐饒也、たゞイタリヤ、イスパニヤ等の地方、稻に宜し、其他は、稻なくして、大小麥に宜しといふ、〉此方諸國の方言、同じからず、しかれども、其大約、三つに出ず、一つにへイベレイウス、二つに、ラテン、三つに、キリイキス、またへレツキスともいふ、凡そ大事を記すには、必ず此等の語を用ふ、そのへイベレイウスといふは、ユデヨラの語なり、〈ユデヨラとは、ラテンの語にして、イタリヤの語には、ジユデアといふ、漢にニユイデヤアと譯す、これ也、これ古の國名、其國、今は滅びたり、其國人の子孫諸國に散在してあるものを、ヨード人と稱すといふなり、〉ラテンといふは、古の國名、今はその地詳ならず、キリイキス、またこれに同じ、その中、ラテンに至ては、此方諸音に相通ぜずといふ所なし、されば、諸國の人、これを學びずといふものあらず、又諸國用ゆる所の字體、二ツあり、一つに、ラテンの字、二つに、イタリヤの字、其ラテンは、漢に楷書の體あるがごとく、イタリヤの字は、漢に草書の體あるに似たり、其字母、僅に二十餘字、一切の音を貫けり、文省き、義廣くして、其妙天下に遺音なし、〈其說に、漢の文字萬有餘、强識の人にあらずしては、暗記すべからず、しかれども、猶聲ありて、字なきあり、さらばまた多しといへども、盡さゞる所あり、徒に其心力を費すのみといふ、〉其これを習ぶの學、ガラアマテイカといふは、梵に悉曇あるがごどく、〈其聲音を習ぶ學なり、〉レトーリカといふは、漢に文章あるがごとし、〈其語をつらねて、言を記するの學なりといふ也、〉此餘、天文、地理、方術、技藝の小しきに至る迄、悉皆學あらずといふ事なしといふ、

アフリカ諸國、

トルカ、(〈萬國全圖都兒瓦或北イタリヤの語に、トルコといひ、他邦には、ツルコといふ、漢に譯せし所いまだ詳ならず、〉)此國、其地甚廣くして、アフリカ、エウロパ、アジアの地方につらなり、國都は、古のコウスタンチイの地、〈古の時、ローマの君、地を避けし所也といふ、コウスタンチイ、またコンスタンチヤともいふ、漢譯未詳、アフリカの地、バルバアリヤの北、マーレニゲーテラーニウムに近き所にあり、バルバアリヤは、漢に巴耳巴里亞、またマアルマアリキヤと譯す、マーレニゲーテヲーニウムは卽地中海也、〉其俗、タルターリヤに、〈すなはち韃靼國〉ひとしく、勇悼敵すべからず、兵馬の多き事、一日にして、二百千を出す、〈二十萬をいふ〉日を歷るにおよびては、其衆はかるべからず、エウロパの地方、その侵凌に堪ずして、各國相援てこれに備ふといふ、

按ずるに、其說に、アフリカの地方、ことくトルカに屬し、また東北は、ゼルマアニヤに至り、東南は、スマアタラに至るといふ、またジヨセフが說によるに、此國ポルトガルに相隣れりといふ、またヲヽランド人に、此國の事を問ふに、其地、東北タルターリヤに相聯る、これ其種類也といふ、