Page:Abraham Lincoln by CHOATE(JP).djvu/65

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 リンコンは衷心より奴隸に反對したる人也。傳說のつたふる所に據れば、彼は年少、人の爲に傭はれ、舟子となりてニューオーレンスに使せし當時、自ら鎖にいましめられたる奴隸の慘狀を目睹して心窃に決する所ありたるが如し。當時ケンタッキー、若くはイリノイスの白人にして、奴隸と共に、若くは奴隸の傍に勞働せし者は、何人も奴隸制度のそれ自らに於て慘忍刻薄を極むるものたるを認めたるのみならずまた、白人勞働の進路に橫はる一大障碍たることを感ぜざる者あらざりき。リンコン一たび議員となりて奴隸黨より成れる當時のイリノイスの州議會に入るや、直に決議案を提出して曰く、「奴隸制度は不正と不利益との上に立つもの