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櫻見に行かう

暖かい春は我の身邊に訪れて來た、內地の櫻は 美しく華かに咲き爛れた、丁度ヱンゼルの樣な美し い笑顏をして我等を手招きして居る 青年男女の血 沸き胸轟く花見の季節はやつて來たのだ。紅男綠女 手に手を携へ、或は一家揃ひで日本全國を舉げて咲 き爛れた櫻の下で歌つたりママつたり飲んだりして歡 樂の幸福に惠れたのはもう昔話しとなり、我等𢧐友 に取つて櫻見はもう夢にしか出來なくなつた、それ ばかりか銃后の家族さへも日を夜に継げての𢧐時勤 務で櫻見どころの騷ぎではなくなつた。

惜しいかな虛しく咲く彼の美しい櫻、一体日ママは何が為誰が為に咲いたやら、そして我等𢧐友は 一体何が為誰が為に千辛萬苦を重ねなければならな いのか、その結果何等得る所ないばかりかロハで出 來る櫻見にさへ行けないのだ。

一切の不幸は皆𢧐爭の賜物なのだ、𢧐爭は我等 から一切の幸福を奪ひ尽して仕舞つたのだ!

親愛なる兄弟、呪はしい𢧐爭を止めて懷しい古 里に歸らうよ櫻見に行かうよ

君の同情者より

中華民國卅二 日收