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防衛装備品等の共同研究等の実施に必要な武器等の移転に関する日英協定

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日本国政府及びグレートブリテン及び北アイルランド連合王国政府(以下「両締約国政府」という。) は、

安全保障の分野において両締約国政府の間に存在する協力関係を考慮し、

国際的な共同研究、共同開発及び共同生産に参加することにより、防衛装備品及び他の関連物品の性能を改善し、並びにこれらの費用の上昇に対処することが、先進国の間で一般的になっているという事実を認識し、

両締約国政府が参加する防衛装備品及び他の関連物品の共同研究、共同開発及び共同生産が、それぞれの国の安全保障に資すること並びに日本国及び英国の防衛産業の間の一層緊密な関係を促進することを希望し、

両締約国政府が参加する共同研究、共同開発及び共同生産に係る事業を促進するため、武器及び武器技術の移転を規律すべき条件が定められる必要があることを認識して、

次のとおり協定した。

第一条

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1 各締約国政府は、自国の関係法令及びこの協定の規定に従い、2の規定に従って決定される防衛装備品及び他の関連物品の共同研究、共同開発及び共同生産に係る事業を実施するために必要な武器及び武器技術を他方の締約国政府の使用に供する。

2 共同研究、共同開発及び共同生産に係る個別の事業は、両締約国政府により、商業的採算を含む各種の要素を考慮して決定され、外交上の経路を通じて確認される。

第二条

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1 前条2の規定に従って決定される共同研究、共同開発及び共同生産に係る事業のために移転される武器及び武器技術を決定する機関として、合同委員会を設置する。

2 合同委員会は、二の国別委員部で構成する。

日本国側委員部は、次の者で構成する。
防衛省の一の代表者
外務省の一の代表者
経済産業省の一の代表者
英国側委員部は、次の者で構成する。
国防省の一の代表者
英国貿易投資総省防衛安全保障部の一の代表者
外務英連邦省の一の代表者

3 移転される武器及び武器技術を決定するために必要な関連情報は、外交上の経路を通じて国別委員部に伝達される。

4 移転される武器及び武器技術は、3の規定に従って伝達された関連情報に基づき、合同委員会により決定される。

5 この協定を実施するため、特に、移転される武器及び武器技術、移転の当事者となる者並びに移転の詳細な条件を定める細目取極が、両締約国政府の権限のある当局の間で行われる。日本国政府の権限のある当局は、防衛省及び経済産業省とする。グレートブリテン及び北アイルランド連合王国政府の権限のある当局は、国防省及び英国貿易投資総省防衛安全保障部とする。

第三条

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1 各締約国政府は、他方の締約国政府から移転された武器及び武器技術を、国際連合憲章の目的及び原則 並びに細目取極において決定する他の目的に適合する方法で効果的に使用するものとし、いずれの一方の 締約国政府も、当該武器及び武器技術を他の目的のため転用してはならない。

2 各締約国政府は、この協定に基づいて移転される武器及び武器技術に係る権原又は占有権を、当該武器 及び武器技術を移転した締約国政府の事前の同意を得ないで、自国政府の職員若しくは委託を受けた者 (契約者及び下請契約者を含む。)以外の者又は他の政府に移転しない。

第四条

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各締約国政府は、自国の関係法令及び両締約国政府の間の適用可能な国際約束に従い、この協定に基づいて他方の締約国政府から移転される秘密情報を保護するための必要な措置をとる。

第五条

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この協定及びこの協定に基づいて行われる全ての取極は、それぞれの国の関係法令及び予算に従って実施される。

第六条

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この協定及びこの協定に基づいて行われる全ての取極の解釈又は適用に関するいかなる事項も、両締約国政府の間の協議によってのみ解決されるものとする。

第七条

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1 この協定は、署名の日に効力を生ずる。

2 この協定の改正は、両締約国政府の書面による同意により行われ、その署名の日に効力を生ずる。 3 この協定は、五年間効力を有し、一方の締約国政府が他方の締約国政府に対しこの協定を終了させる意思を九十日前に外交上の経路を通じて書面により通告しない限り、その効力は、毎年自動的に延長される。

以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの協定に署名した。

二千十三年七月四日にロンドンで、ひとしく正文である日本語及び英語により本書二通を作成した。

日本国政府のために

グレートブリテン及び北アイルランド連合王国政府のために

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