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長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典あいさつ (2008年)

提供:Wikisource


 長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に臨み、原子爆弾の犠牲となられた方々の御霊に対し、謹んで哀悼の誠を捧げます。 今なお被爆の後遺症に苦しまれている方々に、心よりお見舞い申し上げます。

 今日(こんにち)、ここ長崎は、国際交流の歴史が息づく観光都市として、国内外に魅力を発し、常に人々が集い、賑わう街として発展しています。 しかし、夏が訪れるたび、長崎には、厳かな静けさが訪れます。それは、人々が深く重い悲しみに胸塞ぎ、平和への祈りを捧げるからでありましょう。そのような夏も、今年で63回を数えました。

 この間、我が国は、唯一の被爆国として、広島、長崎の悲劇を決して繰り返してはいけないと堅く決意し、一貫して国際平和への途を歩み、繁栄を享受してまいりました。

 平和で安定した国際社会は、我が国の安全と繁栄にとってもかけがえのない財産であり、これを守り育てるためにも、我が国は「平和協力国家」として、国際社会において責任ある役割を果たしていかなければなりません。 先の北海道洞爺湖サミットのG8首脳会議では、首脳宣言として初めて、核兵器削減を歓迎し、すべての核兵器保有国に核兵器削減を求めました。

 本日、私は、ここ長崎で、我が国が、今後も非核三原則を堅持し、核兵器の廃絶と恒久平和の実現に向け、国際社会の先頭に立っていくことを、改めてお誓い申し上げます。

 被爆により苦しんでおられる方々には、保健、医療や福祉にわたる総合的な援護策を充実させてまいります。 本年度より、原爆症の新たな認定方針に従い、できる限り多くの方を認定することとしました。在外被爆者の方々についても、被爆者健康手帳を容易に取得できるようにいたします。 一人でも多くの方々を援護できるように取組みを進めてまいります。

 結びにあたり、犠牲となられた方々の御冥福と、被爆された方々並びに御遺族の皆様の今後の御多幸、そして長崎市の一層の発展を心より祈念申し上げ、私のあいさつといたします。

平成二十年八月九日

内閣総理大臣 福田康夫