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連立政権樹立に関する合意事項

提供:Wikisource

今回の総選挙で国民は、自由民主党に代わる新しい政権を求める歴史的審判を下した。日本社会党、新生党、公明党、日本新党、民社党、新党さきがけ、社会民主連合及び民主改革連合の八党派は、国民の負託にこたえ、政治倫理を重んじ、自由民主党政権の下では、なしえなかった抜本的な政治改革を実現する連立政権の樹立を決意した。この政権は、冷戦終結後の国際社会や国民ニーズの急速な変化に対応する役割を持つものであり、今後一致協力して新しい政治を切り拓くため、次の事項について合意した。

一、 連立政権は、

①小選挙区比例代表並立制による選挙制度改革
②徹底した政治の腐敗防止のための連座制の拡大や罰則の強化
③公費助成等と一体となった企業団体献金の廃止の廃止等の抜本的政治改革関連法案
を本年中に成立させる。

二、 連立政権は、わが国憲法の理念及び精神を尊重し、外交及び防衛等国の基本施策について、これまでの政策を継承しつつ、世界の平和と軍縮のために責任及び役割を担い、国際社会に信頼される国づくりを行う。

三、 連立政権の経済政策は、自由主義経済を基本とし、国際協調を図り、国民生活の安定と向上に努める。また、食料及び徹底した安全管理の下におけるエネルギーの安定的確保に責任を果たすものとする。

四、 連立政権の発足に当たっては、かつての戦争に対する反省を踏まえ、世界及びアジアの平和と発展のために協力することを、内外に明示する。

五、 連立政権は、当面する次の重要政策課題について、各党は、誠意をもって協議を行い、合意を得て活力ある福祉文化社会を創造することにある。

①長期化する不況の早期克服
②国民生活を重視した平成六年度予算編成と硬直化した予算配分方式の見直し
③規制緩和など行財政改革
④地方分権の推進と本格的地方地方自治の確立
⑤公正な国民合意の税制改革
⑥国際経済摩擦の解消
⑦医療、福祉及び年金の充実等高齢化社会対策の確立
⑧農林・漁業及び中小企業の振興
⑨地球環境保全への協力
⑩PKO等の国際貢献
⑪個性と自立をめざした教育改革
⑫住宅・通勤・時短など都市勤労者対策の推進
日本社会党  山花貞夫
新生党     羽田孜
公明党     石田幸四郎
日本新党    細川護煕
民社党     大内啓伍
新党さきがけ  武村正義
社民連     江田五月
民主改革連合 星川保松

八党派覚書

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八党派覚書

<確認すべき基本政策について>

一、 憲法の理念及び精神を尊重し、外交・防衛政策についてはこれまでの政府の政策を継承しつつ、世界平和と軍縮のための責任を果たし役割を担う。
二、 日米関係の基軸としての日米安全保障条約を継承するとともに、アジアの平和と安定に貢献する。
三、 原子力発電については安全性を確保するとともに、新エネルギーの開発に努める。
四、 日韓基本条約を順守し、朝鮮半島の平和的統一に協力する。

<協議すべき当面の重要政策について>

一、 景気は、なお厳しい状況にあるとの認識で一致し、内需拡大など適切な不況対策を実施するための協議を続ける。
二、 来年度予算編成については、硬直化した予算配分方式の見直しなど、国民生活重視の編成とするものとし、内容については引き続き協議する。
三、 行財政改革に積極的に取り組み、規制緩和、補助金の見直し、また情報公開を推進する。
四、 地方分権を進める法的措置を講じ、地方自治に基づく民主政治の健全な発展、東京一極集中の是正、魅力ある地域社会づくりに努める。
五、 所得、資産、消費のバランスのとれた総合的税制改革を行う。所得減税については、規模、内容、財源、実施時期について引き続き協議を続ける。
六、 国際的貿易不均衡については、自由貿易の原則に立ち、世界各国がともに努力すべきである。
七、 高齢化社会に対応し、年金財政の安定、医療制度・各種保険制度の拡充、ゴールドプラン・介護制度等の充実を進める。
八、 自由貿易体制を堅持する立場からウルグアイラウンド交渉は成功させるべきであるが、コメの例外なき関税化には反対である。農林漁業の再建とそれらの持つ環境、国土保全、地域社会の維持などに配慮するものとする。また、中小企業・地場産業の積極的振興に努める。
九、 地球環境保全に対する人的、技術的、資金的協力、国連における環境理事会の設置に努力するなど、環境政策に積極的に取り組む。
十、 国連を中心とする国際平和の実現に取り組み、国連平和維持活動(PKO)を含め国連への協力を積極的に進める。また、国連改革に取り組む。
十一、 新しい価値観に対応した環境、ボランティア教育等、個性豊かな自立ある人間性を育てる教育を進める。また、文化・芸術の振興を図る。
十二、 勤労者のゆとりある生活を確保するため、年千八百総労働時間の早期実現、住宅の確保、通勤難の解消などの対策に取り組む。また、育児・介護・看護休業制度を充実し、女性の能力がいかされる社会をつくる。