謡物

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謡物(うたいもの)は平安時代にできた歌曲、及び、それに付けられた舞。通常、雅楽に含まれる。

  • 催馬楽(さいばら)
    酒をたうべて たべ酔うて とうとこりそ 詣で来ぞ よろぼいそ 詣で来る 詣で来る 詣で来る
    桜人 その舟とどめ 島つ田を 十町(とまち)つくれる 見て帰り来んや そよや 明日帰り来ん そよや 明日帰り来ん 言をこそ 明日とも言わめ 彼方(おちかた)に 妻去る夫(せな)は 明日も真(さね)来じや そよや さ明日も真来じや そよや
    青柳を 片糸によりて や おけや 鶯の おけや 鶯の 縫うという笠は おけや 梅の花笠や
    更衣せんや 先ん立ちや 我が衣(きぬ)は 野原篠原 萩の花擦や 先ん立ちや
  • 朗詠(ろうえい)
    嘉辰令月歓無極 万歳千秋楽未央
    徳是北辰 椿葉之影再改 尊猶南面 松花之色十廻
    東岸西岸之柳 遅速不同 南枝北枝之梅 開落已異
    池冷水無三伏夏 松高風有一声秋
    長生殿裏春秋富 不老門前日月遅
  • 今様(いまよう)
    春のやよいの あけぼのに 四方(よも)の山べを 見わたせば 花盛りかも しら雲の かからぬ峰こそ なかりけれ
    花たちばなも 匂(にお)うなり 軒のあやめも 薫るなり 夕暮さまの さみだれに 山ほととぎす 名乗るなり
    秋の初めに なりぬれば ことしも半ばは 過ぎにけり わがよ更けゆく 月影の かたぶく見るこそ あわれなれ
    冬の夜寒の 朝ぼらけ ちぎりし山路は 雪ふかし 心のあとは つかねども 思いやるこそ あわれなれ
    長生殿の うちにこそ ちとせの春あき とゝめたれ ふうもんおしたて . つれば としはゆけとも おひもせず
  • 筑前今様(ちくぜんいまよう)(参考)
    酒は呑め呑め 呑むならば 日本一(ひのもといち)のこの槍を 呑みとるほどに 呑むならば これぞまことの 黒田武士
    皇御国(すめらみくに)の 武士(もののふ)は いかなる事をか 勤むべし ただ身に持てる 真心を 君と親とに 尽くすまで
    峰の嵐か 松風か 尋ぬる人の 琴の音(ね)か 駒をひかえて 聞く程に 爪音(つまおと)しるき 想夫恋(そうぶれん)
    君の晴着のお姿を 寿祝う鶴と亀 松竹梅のよろこびを 幾千代(いくちよ)までも祈るらん
  • 豊栄の舞(とよさかのまい)(参考)
    (近代に作られた神楽を参照)