第45条の規定に基づく要請、指示及び公表について

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事 務 連 絡
令和2年4月23日


各都道府県知事 殿

内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室長


第45条の規定に基づく要請、指示及び公表について

 新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号。以下「特措法」という。)第45条第2項及び第3項の規定に基づく施設の使用制限等に係る要請及び指示について、都道府県対策本部において法に基づく適正な運用がなされるよう、下記のとおり、留意すべき事項等を示す。


1.特措法第45条第2項及び第3項の規定に基づく要請及び指示の対象

 特措法45条第2項及び第3項の規定に基づく要請及び指示は、施設を管理する者等に対して行われるものであり、使用制限等の対象も個別の施設となる。また、当該要請及び指示に伴う特措法第45条第4項の公表も、特定可能な個別の施設名等を広く周知することにより、当該施設に行かないようにするという合理的行動を確保することを考え方の基本としている。


 したがって、第1段階として特措法第24条第9項の規定に基づく協力の要請を業種や類型毎に行ったのち、それに正当な理由がないにもかかわらず応じない場合に、第2段階として特措法第45条第2項の規定に基づく要請、次いで同条第3項の規定に基づく指示を個別の施設の管理者等に対して行い、その対象となった個別の施設名等を公表するものとする。なお、正当な理由とは、例えば、新型インフルエンザ等対策に関する重要な研究会等を実施する場合など、限定的に解釈されるものである。


 公表の内容としては、要請(指示)の対象となる施設名及びその所在地、要請(指示)の内容、要請(指示)を行った理由を含むものとし、幅広く住民に周知するため、各都道府県のホームページ等での公表を基本とする。また、特措法第45条の規定に基づき個別の施設の管理者等に対して要請若しくは指示又は施設名等の公表を行う場合には、その対象となる予定の施設以外にも特措法第24条第9項の要請に応じていない施設があるか等をよく調査のうえ、実施するよう留意すること。


2.特措法第45条第2項及び第3項の規定に基づく要請及び指示の手続

 特措法第45条第2項の規定に基づく要請は、行政手続法(平成5年法律第88号。以下「行手法」という。)第2条第1項第6号の行政指導、特措法第45条第3項の規定に基づく指示は、行手法第2条第1項第4号の不利益処分に該当すると考えられ、それぞれ行手法の規定に従うものとする。

 そのうえで、特措法第45条第2項の規定に基づく要請を行うためには、実地調査により特措法第24条第9項の規定に基づく要請に従っていないことが認められること、また、その事実等を対象となる施設に通知(以下「事前通知」という。)してから一定期間を経過した日以降においても、なお同一の結果が認められること、が求められる。ここで、一定期間を経過した日とは、事前通知した日の翌日を基本とするが、事態の緊急性等に応じて、各都道府県知事によって判断するものとする(公益上、緊急に特措法第45条第2項の規定に基づく要請を行う必要がある場合等には、事前通知を必要としない)。また、法第45条第3項の規定に基づく指示に関しては、行手法第13条第1項第2号の規定により弁明の機会の付与を行わなければならないが、同条第2項の規定により、公益上、緊急に不利益処分を行う必要がある場合には、弁明の機会の付与を行う必要はない。

 なお、事前通知には、予定される要請の内容及びその根拠となる法令の条項、予定される公表の内容及びその根拠となる法令の条項、公表の方法、公表の予定日、要請及び公表の原因となる事実、要請及び公表の原因となる事実を是正する場合の問合せ先並びにその期限等を明示することとする。


3.特措法第45条第2項及び第3項の規定に基づく要請及び指示の要件

 特措法第45条2項に基づく要請は、同項で定められた要件である「新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するために必要があると認めるとき」に適合する必要がある。

 したがって、単に特措法第24条第9項の規定に基づく要請に従わないという理由だけで特措法第45条第2項の規定に基づく要請を行うのではなく、対象となる個別の施設が使用の継続を行う場合に、新型インフルエンザ等のまん延につながるおそれがあると認められる必要がある。これは、必ずしも現に対象となる個別の施設においてクラスターが発生している必要はないが、例えば、専門家の意見として、対象となる施設やその類似の環境(業種)が、クラスターが発生するリスクが高いものとして認識されていること等が求められるものと考えられる。

 また、特措法第45条第2項の規定に基づく要請に応じず、同条第3項の規定に基づく指示を行うときには、「新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するために特に必要があると認めるとき」となっており、必ずしも現に対象となる個別の施設においてクラスターが発生している必要はないが、例えば、専門家の意見として、対象となる施設やその類似の環境(業種)が、クラスターが発生するリスクが高いものとして認識されている上に、当該施設において、いわゆる「3つの密」に当たる環境が発生し、クラスターが発生するリスクが高まっていることが実際に確認できる場合などが考えられる。

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