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私文書偽造等に関する決定(昭和56年4月8日)

提供:Wikisource


主  文

 本件上告を棄却する。

理  由

 弁護人佐々木実の上告趣意は、単なる法令違反、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。

 なお、交通事件原票中の供述書は、その文書の性質上、作成名義人以外の者がこれを作成することは法令上許されないものであつて、右供述書他人の名義で作成した場合は、あらかじめその他人の承諾を得ていたとしても、私文書偽造罪が成立すると解すべきであるから、これと同趣旨の原審の判断は相当である。

 よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

昭和五六年四月八日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 塚本重頼
裁判官    栗本一夫
裁判官    木下忠良
裁判官    鹽野宜慶
裁判官    宮崎梧一