百詩篇第5巻

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ミシェル・ノストラダムス師の予言集>百詩篇第5巻


1

ケルト人の破滅が到来する前に
寺院の中で二人が話し合うだろう。
駿馬に跨った者の短剣が心臓に、そして槍
騒ぐことなしに(彼らは)その大物を埋葬するだろう。

3

公国の後継者が来るだろう、
トスカーナの海をはるかに越えて。
ガリアの分家はフィレンツェを保つだろう。
合意によって(紋章の)風車模様の中には水上の蛙。

4

都市から追い払われた大きなマスチフ犬が、
異国の同盟に悩まされるだろう。
野で牡鹿が追われた後に
狼と熊が互に不信を抱くだろう。

5

隷属をやめるという偽りの口実の下、
人々と都市を彼自身が強奪するだろう。
若い娼婦の詐術にかかって(彼は)一層悪いことをするだろう。
偽りの序文[1]を読みながら、野で引き渡される。

6

鳥占官Augure)が王の頭上に手を置いて、
イタリアの平和を祈るために来るだろう。
左手へと笏を持ち替えるだろう。
王から平穏な皇帝になるだろう。

11

太陽の者たちにとって、海は安全ではなくなるだろう。
金星の者たちはアフリカ全土を掌握するだろう。
彼らの王国を太陽も土星も[2]支配することは最早ないだろう。
そしてアジアの一部が変わるだろう。

20

大軍団がアルプスを越えるだろう。
少し前にヴァパンの怪物[3]が生まれるだろう。
驚異、そして(それは)突然引き返すだろう。
偉大なトスカーナ人は彼の最も近い場所に。

24

高められた ウェヌスの下での王国と法
サトゥルヌスユピテルの上に帝国を持つだろう。
昇らされた太陽による法と王国
サトゥルヌスの人々によって最悪を蒙るだろう。

25

アラブの王子、火星、太陽、金星、獅子宮
教会の統治は海からつぶされるだろう。
ペルシャの方へ、まさしく約100万
ビザンチン、エジプト、Ver.Serp. が[4]、侵攻するだろう。

45

すぐに大帝国が荒らされ、
アルドゥエンナ・シルウァ[5]近くへ移されるだろう。
2人の私生児は年長者に斬首される。
そして鷲鼻[6]のアヘノバルブス[7]が君臨するだろう。

53

太陽の法と金星の(法)が争い合うだろう。
預言の精髄を適用しつつ
一方も他方も理解されることはないだろう。
偉大なメシアの法は太陽によって保つだろう[8]

54

ポントゥス・エウクシヌスと大タルタリアから
ガリアを見に来るであろう一人の王が生まれるだろう。
アラニアとアルメニアを貫き、
ビュザンティオンでは血塗られたを残すだろう。

57

ゴルシエ山[9]アヴェンティーノから出るだろう。
穴を通じて軍隊に知らせる者が。
2つの岩の間で戦利品が取られるだろう。
セクストゥスの霊廟[10]の名声は衰える。

58

ガルドン川のユティサンス[11]水道橋
--森と近寄れない山を通っている--
その橋の真ん中で、拳で果たされるだろう[12]
ネマウススの首領は。彼は非常にひどい人物であるだろう。

59

ニームにて、イングランドの首領のための過度の逗留。
スペインの方へとアヘノバルブス[7]は救いに行く。
何人かは開かれたマルスによって死ぬだろう、
アルトワに髭の星が降る日に。

62

岩々の上に血の雨の降るのが見られるだろう。
東方の太陽、西方の土星。
オルゴン(Orgon)の近くで戦争、ローマでは大いなる凶事を見る。
船舶は溶かされ、三叉の衝角を持つ船は奪われる。

66

ウェスタの巫女の古い建物の下、
崩れた水道橋から遠くないところ。
輝く金属は太陽と月に由来している。
黄金で彫られたトラヤヌスの燃えるランプ

74

トロイアの血からゲルマニアの心が生まれるだろう。
彼は非常に高らかな力となり、
アラブの異邦人たちを外へと追いやるだろう。
教会を、かつての絶頂前の姿に戻しつつ。

99

ミラノフェラーラトリノアクイレイア
カプアブリンディジは苦しめられる、ケルト人たちによって、
つまりは獅子と鷲の党派によって。
ローマが老いたブリタニアの首領を持つであろう時に。

100

火付け役が自分の火にまかれる。
天からの火により、カルカス、コマンジュ(Cominge)、
フォワオーシュ、マゼール(fr:Mazères)にて。高位の老人は逃げる、
ヘッセンザクセンテューリンゲンの人々によって。

[編集]

  1. Proësme : 「序文」(Proësme)は、17世紀以降の版には「詩」(Poësme)となっているものがある。
  2. 「太陽も土星も(Sol, Saturne)」は17世紀以降の多くの版では、「土星が(Saturne)」と書かれる。
  3. monstre vapin : vapinには諸説ある。レオニは古フランス語のvapin(ならず者)とし、プテ=ジラールはラテン語vapidus(汚れた)か Vapincum(ギャップの古称)としている(Leoni [1982], Petey-Girard [2003])。
  4. Vers. Serp. : レオニやプテ=ジラールはVera Serpens(真のヘビ)、ラメジャラーはVersus Serpens(とぐろを巻いたヘビ)と読んでいる(Leoni [1982], Petey-Girard [2003], Lemesurier [2003])。ブランダムールはVers. Sept. の誤記と見た上でVers Septentrionnaire(北方へ)と読んでいる(Brind'Amour [1993])。
  5. Arduenne silve : Arduenna Silva(「アルデンヌの森」を表すラテン語)をフランス語化したもの。
  6. nez de milve : 直訳は「鷹の鼻」
  7. 7.0 7.1 Aenobarbe : 「銅色(=赤褐色)の髭」を表すラテン語Ahenobarbusをフランス語化したもの。ブランダムールは、ノストラダムスと同時代の「赤髭バルバロス・ハイレディンのこととしている(Brind'Amour [1996])。レオニはネロの旧姓が「アヘノバルブス」であったことを指摘している(Leoni [1982])。
  8. 日本語文献では「保たれる」と訳すものが多いが、原文はtiendra(保つだろう)であってsera tenu(保たれるだろう)ではない。
  9. mont Gaulsier. サン=レミ=ド=プロヴァンスのゴシエ山(mont Gaussier)。なお、この語は版によって様々な異文がある。
  10. SEXT. はSextusの略、mansolはmausolée(霊廟)の誤植とされる(ex. Lemesurier [2003])。
  11. Uticense : カストゥルム・ウテキエンセ(Castrum Uteciense)に由来する語で、その古称を持つ町ユゼス(Uzès)を指す(Leoni [1982], Lemesurier [2003])。
  12. tasché : 義務などが果たされること。ラメジャラーは「一発殴られる」と意訳している(Lemesurier [2003])。17世紀以降の版にはtaché(しみを付けられる)、tranché(切り落とされる)などになっているものもある。

翻訳に関する情報[編集]

  • 底本はLes Prophéties de M. Michel Nostradamus, Antoine du Rosne, Lyon, 1557
    • 明らかな誤植は後の版に基づいて読み替えた。誤植と断言しきれない場合は、原文どおり訳し、注記の形で、下に掲げるブランダムールやラメジャラーの読み方を紹介した。
  • 翻訳者はウィキソースユーザーのsumaru。
  • 参考文献の一覧はミシェル・ノストラダムス師の予言集にある。