百詩篇第4巻

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ミシェル・ノストラダムス師の予言集>百詩篇第4巻


1

まだ流れ出ていない血の残り
ヴェネツィアは救いが与えられることを求める。
大変長らく待たされた後に、
最初の角笛が鳴って、都市は開放される。

5

十字架、完全な神の言葉のもとでの平和
スペインとガリアはひとつにまとまるだろう。
大災厄は近い、極めて辛辣な戦い。
動揺しない豪胆な者などいないだろう。

9

陣営の首領は群集の真ん中で
股に一矢を受けて負傷するだろう。
涙と悲嘆にくれるジュネーヴが、
ローザンヌとスイス諸邦に裏切られるであろう時に。

18

天空の事柄に関して最も学識ある人々の何人かが、
無知な君主たちによって排斥されるだろう。
勅令で罰せられ、罪人として追放され、
発見されたその場所で殺される。

23

海の艦隊の一軍団が
カルシヌ、マグネシア、硫黄、松脂[1]、燃やすだろう。
安全を保証された場所での長い休息
スランの港[2]、エルクル[3]、火は彼らを焼き尽くすだろう。

26[4]

ミツバチの大群が湧き起こるだろう。
それがどこから来たのかは分からないだろう。
夜の待ち伏せ、葡萄棚の下には見張り。
都市は、裸でない[5]饒舌な5人に裏切られるだろう。

27

サロン、モゾル[6]タラスコンセクストゥスのアーチ
今なおピラミッド[7]が建っている場所、
(それらへと彼らは)デンマークの君主を引き渡しに来るだろう。
アルテミスの寺院での辱められた身代金支払い。

29

隠された太陽がメルクリウスによってとなる。
第二天にしか置かれないだろう。
ヘルメスウルカヌスの餌食となるだろう。
太陽は純粋、緋色、かつ金色に見えるだろう。

31

真夜中に月は高い山の上、
新しい賢者は一心にそれを見た。
その弟子たちによって不死たることを励まされる。
双眼は南に、両手は胸に、体は火へ。

33

ルナよりもウェヌスに結びついたユピテルは、
白さに満ちているように見える。
ネプツヌスの白さの下に隠されたウェヌスは、
マルスが重くした枝で打ち据えられるだろう。

38

公爵が王と王妃を支配するであろう時、
ビュザンティオンの首領はサモトラケ島で囚われる。
強襲の前に一方が他方を食うだろう。
鉄の[8]無骨漢が血の跡を辿るだろう。

42

ジュネーヴとラングルは、シャルトルドールの人々によって
そしてグルノーブルによって、モンテリマールで囚われる。
セーセル[9]とローザンヌは詭計に嵌り
60マルク[10]の黄金で彼らを裏切るであろう。

52

攻囲された都市、男も女も壁に、
敵は外に、首領は降伏の準備。
風は近衛騎兵に向かって強く吹くだろう。
熱、塵、灰によって駆逐されるだろう。

54

ガリアの王にはかつてなかった名前によって
決してなかった非常に恐ろしい雷
イタリア、スペイン、イングランドを震わせる。
異国の女性(たち)[11]には大いに鄭重。

55

カラスが煉瓦で組まれた塔の上で、
7時間にわたって鳴くことしかしないときに、
予兆された死、血塗られた彫像。
死に至った暴君、神々へと人々は祈る。

68

ウェヌスから遠くない至近の年[12]に、
アジアとアフリカの最も偉大な2人が、
ラインヒステルから来たと噂されるだろう。
マルタ島リグーリア海方面に叫びと涙。

72

アジャンレクトゥールによってアルトミック[13]は、
サン・フェリックス(sainct Felix)で議会を開くだろう。
バザスの人々は悪いときに来るだろう、
コンドンマルサンを速やかに捕らえようとして。

74

レマン湖の人々とブランノウィケス[14]の人々は、
アキテーヌの人々に対抗するために集まる。
ゲルマニアの人々、それ以上にスイスの人々は、
メーヌの人々[15]とともに打ち破られるだろう。

77

君主スラン(SELIN Monarque)、平穏なイタリア
統一された諸王国、世界のキリスト教徒の王者[16]
死に際して、ブロワの地で眠ることを望む、
海賊たちを海から駆逐した後で。

83

夜の戦闘、勇敢な艦長が
敗れて逃げるだろう。人々の中には倒された者はほとんどいない。
動揺した人々、無為ではない煽動。
彼の実の息子は、彼を攻囲されたままにしておくだろう。

86

その年に土星が水(=みずがめ座)で
太陽と合するであろう。強大な王が、
ランスエクスに受け入れられ、油を塗られる。
征服した後で、彼は無垢な者たちを傷つけるだろう。

90

2つの軍隊は壁で合流することが出来ないだろう。
その時、ミラノとティキヌムでは騒擾。
飢餓、渇望、疑念が彼には非常に重くのしかかるだろう。
肉もパンも(他の)食糧も一口分すらないだろう。

91

決闘を行うことがガリアの公爵に強制される
メレル[17]の船はモナコに近づかないだろう。
誤って告発された者、永遠の監獄。
その息子は死の前に統治しようとするだろう。

92

勇敢な艦長の斬り落とされた首級は、
彼の敵の前に投げ棄てられるだろう。
彼の体は艦船の帆柱に吊るされる。
混乱した者は逆風に向かって櫂で漕いで逃れるだろう。

93

王家の寝所の近くで一匹の蛇が目撃されるであろう、
婦人によって。夜、犬たちは吠えないだろう。
その時、フランスでは、王にふさわしい一人の王子が生まれるだろう。
全ての君主たちは、(彼が)天から来たと認識するだろう。

94

偉大な2人の兄弟は、スペインから逐われるだろう。
兄はピレネー山脈のもとで倒される。
ドイツによって海もローヌ川レマン湖も血で赤くなる。
ナルボンヌとブリテル[18]アガタに汚染されるだろう。

95

2人に任された王国を、(彼らは)ほとんど保てないだろう。
3年7ヶ月が過ぎて、(彼らは)戦争を行うだろう。
ウェスタの巫女2人が、反抗するだろう。
次男の勝利はアルモリカの地[19]

96

ブリタニアの島の姉は、
弟の15年前に生を享けるだろう。
(正しさを)立証されたおかげで、その婚約者によって、
(彼女は)天秤の王国を継承するであろう。

97

水星、火星、金星が逆行する年、
大君主の血統は途絶えずに済むだろう。
ガグドール近くの[20]ルシタニア人たちに選ばれるのだ、
平穏な王国へとめっきり老いるために来るであろう者が。

100

天の火が王家の建物へと、
マルスの光が衰えるであろう時に。
7ヶ月、大戦、呪いで死んだ人々。
ルーアンエヴルーも王に背かないだろう。

脚注[編集]

  1. Calcineをレオニやラメジャラーはプロヴァンス語のCalcina(石灰)と理解している(Leoni [1982], Lemesurier [2003])。これに対し、ブランダムールはCalcide(カルキス)の誤記と捉えた上で、マグネシアともども古代ギリシャの地名と見ている(Brind'Amour[1996])。前者の場合「石灰、マグネシウム、硫黄、松脂で」となり、後者なら「カルキスとマグネシアを硫黄と松脂で」となる。
  2. Selynは「三日月」の意味とされる。
  3. Hercle : 構文上、Port Hercle の略とされるが、ポルト・エルコーレ(Porto Ercole)とする説(Brind'Amour[1996])とモナコ(Portus Herculis Monoeci)とする説(Leoni [1982], Lemesurier [2003])がある。
  4. 全文がプロヴァンス語で書かれた2つの詩のひとつ。
  5. 変語強意法の一種。「無一文ではない」=「金持ちである」(Brind'Amour [1996])、「身綺麗でない」=「買収された」(Leoni [1982])、「露わになっていない」=「隠された」(Lemesurier [2003])などと読まれる。
  6. Mansol : Mausol の誤記。サン=ポール=ド=モゾル修道院は、サン=レミにある。
  7. プロヴァンス語では様々な古代の石造建築物を指す。
  8. ferré : 「鉄の」には「残酷な」の意味もあった(Brind'Amour [1996])。
  9. 本来の原文は Seysset だが、Seyssel の誤植とされる(Leoni [1982], Brind'Amour [1996] etc.)。
  10. 1マルクは8オンス
  11. De femme estrangiers : 名詞が単数、形容詞が複数なので、後の版によって、単数で統一される場合と複数で統一される場合がある。
  12. l'an : 1597年頃以降の版ではlieu(場所)となっているものが多い。
  13. Artomiques : 1597年頃の版以降にはAttomiques, Atomiques などとなっているものがある。一般にはArécomiques(ナルボンヌ周辺地方の住民の古称)と見なされる(Leoni [1982], Petey-Girard [2003] etc.)。
  14. Brannonices はBrannovices(マコン周辺の住民のラテン語名称)の誤植とされる(Leoni [1982], Petey-Girard [2003])。
  15. ceux du Maine : 1557年版ではceux d'Humaine となっているが、16世紀末以降の版に見られる異文のほうが正しいとされるので(Petey-Girard [2003], Lemesurier [2003])、そちらで訳した。
  16. 1650年ライデン版以降には、par が追加されて「世界のキリスト教徒の王者によって統一された諸王国」となっているものがある。
  17. Mellele : Meselle. Moleなど、いくつもの異文がある。メリリャ(Melilla, Melille)の誤記とされることが多い(Leoni [1982], Petey-Girard [2003] etc.)。
  18. Blyterre : Baeterrae Septimanorum(ベジエの古称)と理解される。
  19. en Armorique terre : 1557年版や1568年版ではArmonique となっているが、一般にArmoriqueが正しいとされている(Petey-Girard [2003], Lemesurier [2003] etc.)。
  20. pres de Gagdole : Gagdoleには、Gandole, Gahdole, Graudole, Graulade, Pactole など、無数の異文がある(ちなみに一行目retrogradeとの押韻の関係上、Gagdoleは明らかに誤りを含んでいる)。ポルトガルの都市アルマダとする説(pres d'Almade ; Brind'Amour [1993], Petey-Girard [2003])、スペインの都市カディスとする説(pres de Gaddez ; Leoni [1982])などがある。

翻訳に関する情報[編集]

  • 底本は次の二つ。
    • Les Prophéties de M. Michel Nostradamus, Macé Bonhomme, Lyon, 1555(53番まで)
    • Les Prophéties de M. Michel Nostradamus, Antoine du Rosne, Lyon, 6 septembre 1557(54番から)
      • 明らかな誤植は後の版に基づいて読み替えた。誤植と断言しきれない場合は、原文どおり訳し、注記の形で、ブランダムールやラメジャラーの読み方を紹介した。
  • 翻訳者はウィキソースユーザーのsumaru。
  • 参考文献の一覧はミシェル・ノストラダムス師の予言集にある。