百詩篇第1巻

提供: Wikisource
ナビゲーションに移動 検索に移動

ミシェル・ノストラダムス師の予言集>百詩篇第1巻


1

夜に秘密の書斎で着座し、
青銅の坐台の上でひとり休んでいると、
孤独から幽かな火が出でて、
信じるに値することを語らせる。

2

ブランコスの中央で杖を手にし、
水の中で裾と足を彼は濡らす。
恐怖[1]と声が袖を通じて震える。
神性の輝き。神が傍らに座している。

3

敷藁が旋風で裏返り、
彼らの顔がその外套で覆われるであろう時、
共和国は新しい人々に悩まされる。
その時、白と赤は反対に裁くだろう。

4

世界によって一人の君主が産み出されるが、
その平穏と生涯は長くはないだろう。
そのとき釣り舟は失われ
より大きな損害に見舞われるだろう。

5

彼らは、長く戦うことなしに追放されるだろう。
その地方はより酷い負担がかかるだろう。
都市群 (Bourg & cité) にはより大きな戦闘があるだろう。
カルカソンヌナルボンヌは心に被害を受けるだろう。

6

ラヴェンナの眼は奪われるだろう。
その足元で翼が衰えるであろう時に
ブレスの二人は建設するだろう。
トリノヴェルチェッリガリア人が圧搾するだろう。


7

遅れた到着、完遂した処刑。
逆風、書簡は路上で奪われる。
ある派の陰謀を企んだ14人
赤毛によって企ては賛同されるだろう。

8

太陽の都市よ、おまえは何度囚われと
なるのだろうか、野蛮で空虚な諸法をかえつつ。
汝の凶事が近づく。より一層の従属を強いられる。
アドリア海の大物が汝の血管を再び開くだろう。

9

オリエントからカルタゴ人の心が来るだろう。
ロムルスの末裔たちとアドリアを怒らせるために。
リビアの船団に同伴されつつ。
マルタ島が震える。無人になった近隣の島嶼。

10

蛇たち[2]は鉄の檻に移される。
そこには王の七人の子どもたちが囚われている。
老人たちも父たちも地獄から出るだろう。
しかし、子の死と叫びを見て死ぬ。

11

感覚、心情、足、手の動き
ナポリ、レオン[3]シチリアは合意する。
剣、火、水。そしてローマの貴族たちへ[4]
判断力のなさによって溺れさせられ、殺され、滅ぼされる。

12

まもなく二心ある脆弱な人でなしのことが語られるだろう。
(彼は)低きから高きへ速やかに引き上げられる。
すると途端に不誠実で当てにならない者に。
その者はヴェローナで政権を握るだろう。

13

亡命者たちは憤怒と内心の憎悪によって
王に対して大陰謀をめぐらせるだろう。
敵たちを密かに坑道から引き込むだろう。
古くからの仲間たち、彼らへの暴動。

14

隷属させられた人々から歌声、朗唱、請願。
君主や領主たちに投獄されていた捕虜たち。
後世、頭のない痴れ者たちによって、
神への祈りのためだと受け止められるだろう。

15

マルスは武力で我々を脅す。
70回、血が流させられるだろう。
教会勢力の高揚と没落、
その上、彼らから何も聞きたくないという人々。

16

人馬宮の方で鎌が池[5]に結びつく。
その興となる高い絶頂点において。
ペスト、飢饉、軍の手による死。
世紀は革新に近づいている。

17

40年間、イリスは現れないだろう。
40年間、(それは)毎日見られるだろう。
旱魃の大地はますます乾燥していくだろう。
(イリスが)目撃されるときには大洪水。

18

ガリア人の不和と怠慢のせいで、
ムハンマドに道が開かれるだろう。
血に染まったシエーナの陸と海。
帆と船に覆われたフォカイア人の港。

19

蛇たちが祭壇を取り囲みに来るであろう時、
トロイ人の血統がスペイン人に悩まされる。
彼らによって、その大人数が失われるだろう。
指導者は逃げ、沼地の水溜りに隠される。

20

トゥールオルレアンブロワアンジェランスナント
諸都市が急激な変化に悩まされる。
異国語(を話す人々)によって天幕が張られるだろう。
大河、レンヌの投槍[6]、大地と海が震える。

21

奥深い白い粘土が岩を養う。
それ(粘土)は深淵から出てくる乳白色のものである。
人々は無為に困惑させられ、それにあえて触れようとはしないだろう。
底に粘土質の土があるとは知らずに。

22

生きていても何の感覚も持たぬ者が、
その生みの親を傷つけに来て死なせるだろう。
オータンシャロンラングル、二箇所のサンス[7]
雹と氷が大きな不幸をもたらすだろう

23

第三番目の月に太陽が昇り、
猪と豹は戦うためにマルスの野へ。
疲れた豹は天に目を見開き、
太陽の周りを一羽の鷲が飛び回るのを見る。

24

新しい都市で刑の宣告について悩みつつ
猛禽が天へと身を捧げに来る。
勝利の後で捕虜たちを赦す。
クレモナマントヴァ、(人々は)大いなる凶事に見舞われるだろう。

25

非常に長い間失われ、見いだされ、隠されてきた
牧者は半ば神と称えられるだろう。
しかし、月がその大いなる周期を完成する前に、
別の祈りによって(牧者は)名誉を傷つけられるだろう。

26

雷の大きいものが昼に落ちる。
凶事、そして抗議の持ち主によって予言されたこと[8]
続く予兆が夜間に落ちる。
紛争、ランスロンドンエトルリア、悪疫。

27

空から撃たれしギュイエンヌのナラの下、
そこから遠くないところに宝が隠されている。
それは何世紀にもわたって奪われていたものである。
発見した者は死ぬだろう、目をバネに引き裂かれるから。

28

ブークの塔はバルバロイの船(の帆)を高く掲げるだろう。
少しの間。長い時を隔てて、今度はヘスペリアの船(の帆)を。
どちらも家畜、人々、家財に大損害をもたらすだろう。
金牛宮天秤宮、何という致命的な死闘か。

29

陸棲であり水棲でもある魚が
強い波で砂浜に打ち上げられるであろう時、
-- その姿は柔和で[9]恐ろしい奇妙なものである --
間をおかず海を渡って、敵たちが城壁へと。

30

異国の船が大時化の海のせいで
見知らぬ港の近くに着岸するだろう、
シュロの小枝の合図にも構うことなしに。
のちに死と略奪。遅れて届く有用な助言。


31

幾年にもわたりガリアでは戦争が続くだろう、
カストゥロの王の生涯(の長さ)を超えて。
不確かな勝利、三人の大物は戴冠するだろう。
鷲、雄鶏、月、獅子、太陽が印の中に。

32

大帝国がすぐに移されるだろう、
小さな土地へと。それはすぐに成長するだろう。
狭い伯爵領の極小の場所、
そこへは、中央に王笏を置きに来るだろう。

33

広い平原の大きな橋の近くに、
大いなる獅子がカエサルの軍隊を用いて、
頑強な都市を外から打ち倒させるだろう。
恐怖にかられ、門は彼に開かれるだろう。

34

左に飛ぶ猛禽は
紛争の前にフランス人たちに姿を見せる。
ある者は吉祥と受け取り、別の者は曖昧で不吉なものと見る。
弱い一党は吉兆によって保つだろう。

35

若き獅子は老いたるに打ち勝つだろう、
一騎討ちによる戦いの野で。
黄金の籠の中の両目を、「彼」は引き裂くであろう。
二艦隊の一方、そして死す、酷き死。


36

君主が手遅れに悔いるだろう、
彼の敵対者を葬っておかなかったことについて。
しかし、彼はより高いことに同意しに来るだろう。
彼の血統全てを死に絶えさせることに。

37

太陽が隠れる少し前
与えられた紛争、疑わしい大物たち。
打ち倒され 海港は返事をしない。
二つの奇妙な場にある橋と王笏

38

太陽と鷲が勝者の前に現れるだろう
敗者にはむなしい返事が保証される
角笛でも叫びでも甲冑は止まらないだろう。
懲罰、そして死による平和はその時分に完遂する。

39

夜に寝床で最高位のものが絞殺される、
非常に長く逗留したために。選ばれた金髪が、
-- 帝国は3人から要求を受けて疲れさせられる --
死ぬだろう。読まれないカードと包み。[10]

40

狂気を隠蔽する虚偽のトランペットが
ビザンチンに法制の変更をさせるだろう。
(ある者が)エジプトから出るだろう。その望みは撤回にあり。
貨幣とその品位を変更する勅令について

41

都市での攻囲、夜に襲撃
ほとんどのものは逃れられない。紛争は海から遠くない処で。
婦人は息子の帰還に喜び失神する。
毒と隠された手紙[11]は封筒に。

42

ゴシック式の[12]四月の十のカレンダエ
邪悪な人々によって今一度蘇らせられる。
消された火、悪魔の集会。
愛人とプセルロスの黄金を求めつつ[13]

43

帝国に変化が到来する前に、
まさしく驚倒すべき事件が起こるだろう。
野は揺さぶられる。斑岩の柱は
節くれだった岩の上に移され、置かれる。

44

すぐに生贄たちが戻るだろう。
違反者たちは殉教させられ、
修道士も大修道院長も修練士も最早いないだろう。
蜂蜜は蜜蝋よりもずっと高価になるだろう。


45

諸宗派の迫害者(は)、密告者へと大きな報酬。
劇場には獣、舞台での芸を仕込まれる。
この古い方法を発案した者は高みに置かれる。
諸宗派によって、世界には混乱と分裂。

46

オーシュレクトゥールミランドのすぐ近くで、
三夜に渡って天から大火が降るだろう。
まさに呆然・驚倒すべき事件がおきるだろう。
すぐ後に大地が震えるだろう。

47

レマン湖の説教が怒らせるだろう。
日々は週によって換算され、
そして月々、さらに年々となって、全てが絶えるだろう。
行政官たちは彼らの空虚な諸法を痛罵するだろう。

48

月の支配の20年が過ぎた。
7000年、別のものがその体制を保つだろう。
太陽が残された日々を受け取るであろう時に、
私の予言は成就し、終わる。[14]

49

そうした計略のずっとずっと前に、
オリエントの人々は月の威徳によって、
千七百年に、大略奪をするだろう、
アクィロンの地域の片隅をほとんど征服しつつ。

50

水の三宮から生まれるだろう、
木曜日を自らの祝日とするであろう者が。
その名声、称賛、治世、権力は増大するだろう。
陸と海を通じてオリエントへ嵐が。

[編集]

  1. 19世紀の注釈者ビュジェは、「恐怖 (Un peur)」は「蒸気 (Vapeur)」の誤植と推測し、ブランダムールやラメジャラーもこれを支持している(Brind'Amour[1996], Lemesurier [2003])。
  2. 「蛇たち (Serpens)」は1672年版では「執達吏たち (Sergens)」となっており、ブランダムールはこれを支持。ラメジャラーも一応支持(Brind'Amour[1996], Lemesurier [2003])。
  3. ブランダムールは、イタリアのレオンティーニの略とする(Brind'Amour[1996])。
  4. 「そしてローマの貴族たちへ」(puis aux nobles Romains) をブランダムールは 「ローマの貴族たちを井戸へ」(aux puits nobles Romains) と見なし、ラメジャラーらもこれを支持している(Brind'Amour[1996], Lemesurier [2003])。
  5. ブランダムールは「池」(étang) を「錫」(étain) の誤植としており、ラメジャラ―らも支持(Brind'Amour[1996], Lemesurier [2003])。鎌は土星、錫は木星の象徴。
  6. ジャン・デュペーブの指摘に基づき、ブランダムールは「大河、レンヌの投槍」(Fluves, dards Renes) を「砂まみれの大河」(Fluves d'arènes) と読んでいる。ラメジャラーらも支持(Brind'Amour[1996], Lemesurier [2003])。
  7. les deux Sens. サンス=シュル=ヨンヌサンス=シュル=セイユか?(Brind'Amour[1996])
  8. ブランダムールやラメジャラーはMal & predict par porteur postulaire を Mal est predict par porteur postulaire(凶事が抗議の持ち主によって予言される)と読んでいる(Brind'Amour[1996], Lemesurier [2003])。
  9. ブランダムールは「柔和な」(suave)を「脂ぎった」(suate)の誤記とする(Brind'Amour[1996])。
  10. 3行目を挿入的に読むのはブランダムールによる(Brind'Amour[1996])。
  11. ブランダムールやラメジャラーは、この場合の「隠された」(cachées)は「封蝋をされた」(cachetées)の語中音消失と見ている(Brind'Amour[1996], Lemesurier [2003])。
  12. ブランダムールは「ゴシック式の」(du fait Gothique)を「グノーシス的行為が」(le fait Gnostique)と読んでいる(Brind'Amour[1996])。
  13. 「愛人の」(du d’Amant)は文法的におかしな綴り。ブランダムールやラメジャラーは「アダマンティウス」(Adamant)と読んでいる(Brind'Amour[1996], Lemesurier [2003])。四行目全体は様々な異文があり、専門家の間でも複数の読み方があるが、逐一紹介はしない。
  14. w:ミシェル・ノストラダムス師の予言集#百詩篇第1巻48番を参照のこと。

翻訳に関する情報[編集]

  • 底本はLes Prophéties de M. Michel Nostradamus, Macé Bonhomme, Lyon, 1555
    • 明らかな誤植は後の版に基づいて読み替えた。
  • 翻訳者はウィキソースユーザーのsumaru。
  • 参考文献の一覧はミシェル・ノストラダムス師の予言集にある。