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特定新規事業実施円滑化臨時措置法

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本 則

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(目的)

第一条
 この法律は、事業活動に係る技術の高度化若しくは経営の能率の向上又は国民生活の利便の増進に寄与する特定新規事業について、事業資金の調達を円滑にする等その実施を円滑に進めるための措置を講ずることにより、新たな経済的環境に即応した産業分野の開拓を図り、もって国民経済の健全な発展と国民生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条
 この法律において「特定新規事業」とは、新商品を生産し、若しくは新たな役務を提供する事業又は新技術を利用して商品の生産若しくは販売若しくは役務の提供の方式を改善する事業のうち通商産業省の所掌に係るものであって、当該事業に係る商品又は役務が事業活動に係る技術の高度化若しくは経営の能率の向上又は国民生活の利便の増進に寄与するものをいう。

(実施指針)

第三条
 通商産業大臣は、新たな経済的環境に即応した産業分野の開拓を促進するため、特定新規事業の実施に関する指針(以下「実施指針」という。)を定めなければならない。
2 実施指針には、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 新たな経済的環境に即応した産業分野の開拓に関する事項
二 特定新規事業の内容に関する事項
三 特定新規事業の実施方法に関する事項
四 その他特定新規事業の実施に際し配慮すべき事項
3 通商産業大臣は、経済事情の変化のため必要があると認めるときは、実施指針を変更するものとする。
4 通商産業大臣は、実施指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
5 通商産業大臣は、実施指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

(実施計画の認定)

第四条
 特定新規事業を実施しようとする者(特定新規事業を実施する法人を設立しようとする者を含む。)は、当該特定新規事業の実施に関する計画(以下「実施計画」という。)を作成し、これを通商産業大臣に提出して、その実施計画が適当である旨の認定を受けることができる。
2 実施計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 特定新規事業の内容
二 特定新規事業の実施に必要な設備その他特定新規事業の実施方法
三 特定新規事業の開始時期
四 特定新規事業の実施に必要な資金の額及びその調達方法
3 通商産業大臣は、第一項の認定の申請があった場合において、その実施計画が次の各号に適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする。
一 前項第一号から第三号までに掲げる事項が実施指針に照らして適切なものであり、かつ、国民経済の国際経済環境と調和のある健全な発展を阻害すると認められるものでないこと。
二 前項第二号から第四号までに掲げる事項が特定新規事業を確実に実施するために適切なものであること。
4 通商産業大臣は、第一項の認定をしようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。

(実施計画の変更等)

第五条
 前条第一項の認定を受けた者(その者の設立に係る同項の法人を含む。)は、当該認定に係る実施計画を変更しようとするときは、通商産業大臣の認定を受けなければならない。
2 通商産業大臣は、前条第一項の認定を受けた実施計画(前項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの。以下「認定計画」という。)に係る特定新規事業を実施する者(以下「認定事業者」という。)が当該認定計画に従って特定新規事業を実施していないと認めるときは、その認定を取り消すことができる。
3 前条第三項及び第四項の規定は、第一項の認定に準用する。

(産業基盤整備基金の行う特定新規事業実施円滑化業務)

第六条
 産業基盤整備基金(以下「基金」という。)は、民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法(昭和六十一年法律第七十七号。以下「特定施設整備法」という。)第四十条第一項に規定する業務のほか、特定新規事業の実施を円滑化するため、次に掲げる業務を行う。
一 認定計画に係る特定新規事業の実施に必要な資金を調達するために発行する社債及び当該資金の借入れに係る債務の保証を行うこと。
二 認定計画に係る特定新規事業の実施に必要な資金の出資を行うこと。
三 特定新規事業に関する情報の収集、整理及び提供を行うこと。
四 前三号の業務に附帯する業務を行うこと。

(特定施設整備法等の特例等)

第七条
 前条の規定により基金の業務が行われる場合には、特定施設整備法第四十条第二項中「前項第一号の業務」とあるのは「前項第一号の業務及び特定新規事業実施円滑化臨時措置法第六条第一号の業務」と、特定施設整備法第四十一条第一項中「債務の保証の決定」とあるのは「債務の保証の決定及び出資の決定」と、特定施設整備法第六十三条第三号中「第四十条第一項」とあるのは「第四十条第一項及び特定新規事業実施円滑化臨時措置法第六条」とし、産業構造転換円滑化臨時措置法(昭和六十二年法律第二十四号)第二十条第一項中「第十六条第三号及び第五号に掲げる業務」とあるのは「第十六条第三号及び第五号に掲げる業務並びに特定新規事業実施円滑化臨時措置法第六条第三号に掲げる業務」とする。
2 前条の規定により基金の業務が行われる場合における当該業務に係る資金及び経理については、特定施設整備法及び前項に規定するもののほか、産業構造転換円滑化臨時措置法附則第九条に定めるところによるものとする。

(社債発行限度の特例)

第八条
 認定事業者であつて会社であるものは、認定計画に係る特定新規事業の実施に必要な資金を調達するために発行する新株引受権付社債であって、通商産業省令で定めるところにより募集するものについては、基金が当該新株引受権付社債の元本に係る債務の額のうちその額に通商産業省令で定める割合を乗じて得た額の償還について保証する場合に限り、商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百九十七条の規定による制限を超えて募集することができる。ただし、社債の総額は、資本及び準備金の総額又は最終の貸借対照表によりその会社に現存する純資産額のいずれか少ない額の二倍を超えてはならない。

(報告の徴収)

第九条
 通商産業大臣は、認定事業者に対し、認定計画の実施状況について報告を求めることができる。

(罰則)

第十条
 前条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、十万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の刑を科する。
第十一条
 第八条ただし書の規定に違反した者は、百万円以下の過料に処する。

附 則

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(施行期日)

第一条
 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(この法律の廃止)

第二条
 この法律は、平成八年五月二十九日までに廃止するものとする。

(基金の持分の払戻しの禁止の特例)

第三条
 政府及び日本開発銀行以外の出資者は、基金に対し、この法律の施行の日から起算して一月を経過した日までの間に限り、その持分の払戻しを請求することができる。
2 基金は、前項の規定による請求があったときは、特定施設整備法第十八条第一項の規定にかかわらず、当該持分に係る出資額に相当する金額により払戻しをしなければならない。この場合において、基金は、その払戻しをした金額により資本金を減少するものとする。

(罰則に関する経過措置)

第四条
 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(産業構造転換円滑化臨時措置法の一部改正)

第五条
 産業構造転換円滑化臨時措置法の一部を次のように改正する。
 附則第九条第四項中「第五十八条の二の規定」の下に「及び新規事業法第六条の規定」を加え、「及び繊維工業構造改善臨時措置法」を「、繊維工業構造改善臨時措置法」に、「並びに」を「及び特定新規事業実施円滑化臨時措置法(以下「新規事業法」という。)第六条第二号に掲げる業務並びに」に、「及び繊維法」を「、繊維法」に、「掲げる業務」と、」を「掲げる業務及び新規事業法第六条第二号に掲げる業務」と、」に、「附則第九条第二項」を「附則第九条第三項」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項中「の規定」の下に「及び新規事業法第六条の規定」を加え、同項を同条第四項とし、同条第二項中「規定」の下に「及び新規事業法第六条の規定」を加え、「及び繊維法」を「、繊維法」に、「業務に」を「業務及び新規事業法第六条第二号に掲げる業務に」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 基金は、特定新規事業実施円滑化臨時措置法(平成元年法律第五十九号。以下「新規事業法」という。)の施行前に政府が第十七条の規定により出資した額に相当する金額の一部を新規事業法第六条第二号に掲げる業務に必要な資金に充てることができる。

(法務・大蔵・通商産業・内閣総理大臣署名)