無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律第二十六条第四項及び第五項において準用する同法第十七条第二項の規定に基づく意見陳述の通知の件

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○公安審査委員会告示第一号

平成十七年十一月二十五日、公安調査庁長官大泉隆史から、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(平成十一年法律第百四十七号)第十二条第一項後段の規定に基づき、左記第一記載の団体に対する処分の請求があったので、同法第二十六条第三項の規定に基づき意見陳述の機会を付与することとし、同法第二十六条第四項及び第五項において準用する同法第十七条第二項の規定に基づき、左記第二記載のとおり公示する。

平成十七年十二月二日

公安審査委員会委員長  田中  康久

第一  被請求団体

一  団体

平成十二年一月二十八日、公安審査委員会によって、三年間、公安調査庁長官の観察に付する旨の決定を受け、同十五年一月二十三日、同決定に係る処分の期間を更新する決定を受けた「麻原彰晃こと松本智津夫を教祖・創始者とするオウム真理教の教義を広め、これを実現することを目的とし、同人が主宰し、同人及び同教義に従う者によって構成される団体」

二  主たる事務所の所在地

東京都世田谷区南烏山六丁目三十番十九号「GSハイム烏山」一階

三  代表者

氏名  麻原彰晃こと松本智津夫

昭和三十年三月二日生(当五十年)

職業  団体主宰者

居所  東京都葛飾区小菅一丁目三十五番一号  東京拘置所

四  主幹者

氏名  上祐史浩

昭和三十七年十二月十七日生(当四十二年)

職業  団体役員

住所  東京都世田谷区南烏山六丁目三十番十九号「GSハイム烏山」二〇一号室

第二  通知事項

一  更新請求に係る処分の内容及び根拠となる法令の条項

公安調査庁長官の観察に付する処分無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(以下「法」という。)第五条第四項

二  更新の理由となる事実

1  被請求団体の現況

(一)  組織概況

被請求団体(以下「本団体」という。)は、麻原彰晃こと松本智津夫(以下「麻原」という。)を教祖・創始者とするオウム真理教の教義を広め、これを実現することを目的とし、麻原が主宰し、麻原及び同教義に従う者によって構成される団体である。その構成員は日本国内に約一、六五〇名(出家約六五〇名、在家約一、〇〇〇名)及びロシア連邦内に約三〇〇名おり、東京都世田谷区南烏山所在の本団体管理下の施設・通称「南烏山施設」を主たる事務所とし、これを含めて日本国内の一七都道府県に計二八施設、ロシア連邦に数施設を確保している。

(二)  活動概況

本団体は、平成一五年一月二三日付けの観察処分の期間更新決定(以下「本件期間更新決定」という。)後、主幹者であり麻原に次ぐ正大師の位階にある上祐史浩(以下「上祐」という。)主導の下、同処分を免れるため、「教団改革」と称して、麻原の影響力を払拭したかのように装う、いわゆる麻原隠しの動きを更に推進しようとした。しかし、その後、本団体は、方針を変更し、麻原の説法を収録した教学用の書籍を相次いで発行し、麻原及び麻原の説く教義への帰依の強化を図る修行月間を連続して設定したほか、麻原の絶対者としての地位を麻原の子に継承させるための準備を行うなど、麻原及び麻原の説く教義を絶対視する姿勢をより一層鮮明にしている。

さらに、本団体は、本件期間更新決定後も、施設に対する立入検査の際に、構成員が入会申込書等の書類を破棄する検査忌避事件を起こして逮捕・起訴され、執行猶予付の懲役刑を言い渡されたほか、幹部構成員らが、薬事法違反事件や職業安定法違反事件を起こして逮捕・起訴されるなど、違法行為を繰り返しており、また、本団体構成員が、麻原の教えに基づく危険な修行を行って、死亡する事件も繰り返し起きている。

2  法第五条第一項各号該当性

本団体は、次のとおり、法第五条第一項各号に掲げる事項のいずれにも該当する。

(一)  第五条第一項第一号該当性

本団体は、本件期間更新決定後も、無差別大量殺人行為である「松本サリン事件」及び「地下鉄サリン事件」(以下「両サリン事件」という。)の首謀者である麻原を「グル」、「尊師」として組織の頂点に位置付け、麻原及び麻原の説く教義への絶対的帰依を培い、麻原の意思を実現することをその根本的な目的としている。

そのため本団体は、構成員に対し、麻原の説法等を編集した教材による学習を課すとともに、「グルに帰依していくならば、最高の恩恵を得ることができる」、「グルの救済の本当の意味でのお手伝いができるサマナ、信徒になれるように努力していかなければならない」などの説法を行っている。また、装着すれば麻原の脳波が注入されるとするPSI(パーフェクト・サーヴェーション・イニシエーション)の着用を奨励したり、麻原の唱える呪文(マントラ)の音声を大音響で流し続けて聞かせたり、不眠不休で麻原への帰依を誓う詞章を唱え続けさせたりするなどの、マインドコントロールの手法を用いた儀式・修行を受けさせて、麻原及び麻原の説く教義に絶対的に従う意識を扶植しており、幹部構成員から末端構成員に至るまで、麻原が絶対的帰依・服従の対象として扱われている。

その上、本団体は、教義及び位階制度などその運営の根幹部分を変えることは麻原にしかできないとの認識に基づき、麻原の説く教義を厳密かつ純粋に保持することに努め、位階制度についても、麻原の定めたその根幹部分を堅持している。さらに、本団体は、構成員に対し、「尊師は、この地球をシャンバラ(理想郷)のような空間にしたいという意思をもって、この地球に生まれてきました。そのための激しい修行をやっていることをもう一度認識して、全力で修行してほしい」と説くなど、正に麻原の言動に基づき、その意思を推し量りながら、活動方針や体制に関する重要事項を決定している。そして、上記のとおり、本団体は、近時、いわゆる麻原隠しの「教団改革」を撤回し、それと相前後して麻原への絶対的な帰依をより強調する方針を鮮明にしている。

以上の各事実に照らせば、現在も、無差別大量殺人行為の首謀者である麻原が、本団体の活動に絶対的な影響力を有していることは明らかである。

(二)  同第二号該当性

(1)  麻原は、平成一一年九月二二日、東京地方裁判所において開かれた被告人豊田亨及び同杉本繁郎に係る殺人等被告事件の公判に証人として出廷した際、裁判長の人定質問に対し、「名前は松本智津夫。職業はオウム真理教の代表かつ教祖麻原彰晃」と返答し、さらに、同年一一月一〇日、同事件の公判に証人として出廷した際にも、弁護人の質問に対し、「私はオウム真理教が存在している限りは教祖です」と証言し、自ら本団体の代表者であり、教祖としてこれを主宰するものであることを明確に供述した。その後現在に至るまで、麻原が上記供述を変更したことはなく、麻原自身が本団体の代表者・主宰者たる地位を離れる意思を有していると認めるべき事実は存在しない。そして、本団体は、本件期間更新決定後も、麻原を組織の頂点に位置付け、麻原及び麻原の説く教義への絶対的帰依を培い、麻原の意思を実現することをその根本的な目的としており、本団体において麻原は、依然として絶対的な地位を有している。

法にいう「役員」とは、団体の意思決定に関与し得る者であって、当該団体の事務に従事するものをいうとされるが、これまで本団体は、勾留中の麻原の指示を受けて新たにアレフを設立した旨を発表するなど、実際に勾留中の麻原からの指示を受け、それに従って活動方針や体制に関する重要事項を決定しているほか、麻原からの指示がない場合であっても、麻原の言動に基づき、その意思を推し量りながら、活動方針や体制に関する重要事項を決定しており、麻原がひとたび本団体の運営に関する意思を表明すれば、構成員らがこれに服従し、対内的にも対外的にも本団体の活動として実施されるであろうことは疑いの余地がない。これらの事実からして、そのような絶対的地位にある麻原は、本団体の事務処理に関し、自ら新たな指示を出せば、幹部構成員らがこれに従うことも、新たな指示を出さなければ、幹部構成員らが、過去における自らの指示や言動に基づいて、本団体の事務処理を行うものであることも十分承知しており、麻原が新たな指示を出さない場合には、そのことによって、自らの従前の指示や言動に基づく事務処理を行わせているとみるべきである。したがって、麻原は、依然、本団体の事務処理を統括しており、現に本団体の事務に従事していると認めることができるのである。

さらに、麻原については、現在も勾留中であり、平成一六年八月一一日までは弁護人(弁護人となろうとする者を含む)以外の者との接見が禁止され、その後は接見禁止の一部解除がなされているところ、接見禁止の一部解除前には弁護人を介して、それ以後は、これに加えて家族の者らとの接見により、その意思を本団体に伝えることが可能となっているのであって、麻原は、この間いつでも本団体の意思決定及び事務に関与し得る状況にあるのである。

このように麻原は、本団体の意思決定に関与し得るとともに事務に従事する立場にあり、本団体も麻原を代表者たる役員として扱っているのである。以上の事実を総合すれば、無差別大量殺人行為に関与した麻原が、現在も本団体の代表者たる役員であり、かつ、構成員であることは明らかである。

(2)  また、無差別大量殺人行為に関与した他の者のうち、土谷正実、新實智光、横山真人、わた和実及び角川知己の五名は、いずれもその言動から、麻原及びオウム真理教の教義に従い、同教義を広め、これを実現することを目的として共有している者であると認められる。角川については、本団体においてその構成員として公安調査庁長官に対する報告に明記しており、他の四名についても、本団体を脱会する意思を表明したり、本団体から除名処分を受けることもなく、本団体から勾留中のこれらの者に対して、弁護士費用の支出や差入れ、面会等の支援を行っていることが認められる。

以上の事実を総合すれば、現在も、土谷、新實、横山、渡部及び角川の五名は本団体の構成員であると認められる。

(三)  同第三号該当性

本団体においては、両サリン事件が行われた時に代表者たる役員であった麻原が、現在も代表者たる役員であるほか、両サリン事件が行われた時にそれぞれ「ロシア支部大臣」、「文部省大臣」、「車輌省大臣」として本団体の重要な業務を統括し、本団体の重要な意思決定に関与し得る立場の役員であったと認められる上祐、杉浦茂及び野田成人の三名が、現在も本団体の活動方針や体制に関する重要事項を決定している指導部の一員として、本団体の役員であると認められる。

(四)  同第四号該当性

法第五条第一項第四号の「殺人を明示的に又は暗示的に勧める綱領」とは、当該団体の構成員が団体の活動として無差別大量殺人行為を行うよりどころとなる当該団体の目的や行動の規範などをいい、当該団体において「綱領」という名称を付与されているか否かを問わないと解される。

本団体は、麻原を教祖・創始者とするオウム真理教の教義を広め、これを実現することを目的とし、麻原が主宰し、麻原及び同教義に従う者によって構成される団体である。そして、本団体の教義の根幹をなすものは、衆生救済の実践であり、その実践とは観念的なものにとどまらず、文字どおり実践されなければならないことを強調するところに本団体の本質がある。

この点、本団体が両サリン事件に至った経緯をみるに、本団体は、この衆生救済を実現するために、すべての人が、麻原の定めたクンダリニー・ヨーガを成就した本団体構成員に指導されながら暮らす理想郷(シャンバラ)を実際に我が国に建設することを目指すとした麻原の説法に基づき、「日本シャンバラ化計画」を打ち出した。

その上で麻原は、構成員に対し、「九七年に間違いなくハルマゲドンが起きる」などと終末思想を説いて危機感をあおり、衆生救済を実現するためには、衆生救済に至る最速の道であるタントラ・ヴァジラヤーナの実践が必然にして唯一の方法であるとし、これを実践するための基礎として、構成員に対し、マインドコントロールの手法を用いて、自己の意思を捨て、麻原と全く同じものの考え方や見方をして麻原と合一するための「マハームドラーの修行」を課した。そして、麻原の説くタントラ・ヴァジラヤーナの実践には、本団体の活動に反対する勢力や悪業を積む者については、これを殺害することも正しいなどとする殺人を勧める内容が含まれていた。そこで、両サリン事件に関与した当時の構成員らは、「マハームドラーの修行」により、自己の意思を捨てて麻原の指示に従い、衆生救済のためのタントラ・ヴァジラヤーナの実践として両サリン事件の犯行に及んだものである。

本団体は、本件期間更新決定後も、「日本シャンバラ化計画」を保持し、構成員に対し、上記のとおりの麻原の教えを引用して、その教義の中のタントラ・ヴァジラヤーナの実践の重要性を強調しつつ、「世界中で頻発する異常気象と天変地異、蔓延の兆しを見せる疫病は、神々からの警告である」などと、麻原が説いた終末思想を背景とすると思われる説法等を行って危機感をあおり、「日本シャンバラ化計画」による衆生救済を実現するためには、そのための最速の道であるタントラ・ヴァジラヤーナの実践しか採り得ないとし、その実践の基礎となるマインドコントロールの手法を用いた修行・儀式を受けさせるとともに、両サリン事件もタントラ・ヴァジラヤーナの実践として正しいものであったとする指導を行っており、末端構成員にもそうした認識が浸透していることが認められる。

以上のことからして、本団体が、引き続き麻原の教えに従い、「日本シャンバラ化計画」による衆生救済を目的として、その実現のために「悪業を積む者」の殺害を勧めるタントラ・ヴァジラヤーナの実践を本団体構成員の行動規範としており、現在も殺人を勧める「綱領」を保持していることは明らかである。

(五)  同第五号該当性

本団体については、現在も

(1)  衆生救済の名の下、麻原及びオウム真理教の教義に従う社会の実現を目的とし、かつ、殺人を勧める内容を含むタントラ・ヴァジラヤーナの実践をその行動規範として、両サリン事件の首謀者である麻原を絶対的帰依の対象としていること、殊に、本件期間更新決定後、いわゆる麻原隠しの動きを撤回し、それと相前後して麻原への絶対的な帰依をより強調する方針を鮮明にしていること

(2)  本団体は、両サリン事件当時、麻原を頂点とし、麻原の指示に絶対的に従う上命下服の位階制度を敷き、一般社会と隔絶した独自の閉鎖社会を構築していたことを基礎として、組織的かつ秘密裏に両サリン事件を計画準備し、実行し得たと考えられるところ、上命下服の位階制度や一般社会と隔絶した独自の閉鎖社会を維持し、そのため地域住民とあつれきが生じている現状についても、構成員に対し、「皆から受け入れられないことは、修行にとって最高の環境である」と指導するなど、上記のとおり両サリン事件の基礎となりこれを可能にした危険な反社会的組織体質を保持していること

(3)  「マハームドラーの修行」が、麻原及び麻原の説く教義への絶対的な帰依を培うものであり、両サリン事件もタントラ・ヴァジラヤーナの実践あるいは「マハームドラーの修行」として実行されたものであるにもかかわらず、同修行を再開・継続するなど、麻原及び麻原の説く教義に絶対的に従うことを目的とした修行体系を維持していること

(4)  本団体の代表者・主宰者である麻原が、両サリン事件についての自己の責任を否定し何ら反省もせず、幹部構成員らも、構成員に対し、「こういう事件に関わった人たちというのは、素晴らしい国ができますように、この人たちが高い世界に行けますようにと、純粋な願いの下に起こした」などと説いて、両サリン事件を正当化していること

などの事実が認められる。これらのことからすれば、本団体は、無差別大量殺人行為を引き起こす要因となった本質的な危険性を維持していることが明らかである。加えて

(5)  公安調査官による立入検査、地域住民による施設退去運動等を外部からの迫害・攻撃ととらえ、それに打ち勝つ方策として、幹部構成員が、「今年こそは教団の勢力を倍にしたい」と説くなど、組織的に構成員の総数を急激に増加させようとする姿勢を示していること(法第八条第一項第七号は、構成員の総数を急激に増加させ又は増加させようとしていることを再発防止処分の要件の一つに掲げている。)

(6)  麻原への崇拝を継続させ、構成員が麻原の指示に疑うことなく従う体制を維持するため、麻原を「王」とし、その「王権」を麻原の子に継承させるための準備を行っていること

(7)  「サリン量産プラント建設事件」や「武器等製造法違反事件」などに関与して服役した後、本団体の活動に復帰した幹部構成員が、構成員に対し、麻原に対する絶対的帰依の重要性を説いていること

(8)  麻原奪還を企てたいわゆる「シガチョフ事件」に関与したロシア人構成員が、ロシア連邦内に所在する本団体の活動用施設に出入りしていること

(9)  依然として薬事法違反等の刑罰法規に反する違法行為を組織的に繰り返したり、温熱修行等の麻原の教えに基づく人命を軽視した危険な修行を行うなどしていること

などの事実が認められ、本団体が無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があることは明らかである。

3  引き続き本団体の活動状況を継続して明らかにする必要性(法第五条第四項)

本団体に対しては、平成一二年一月の観察処分決定(以下「本件観察処分決定」という。)及び同一五年一月の本件期間更新決定に基づき、これまで一一五回の立入検査を実施し、二四回の公安調査庁長官に対する報告を徴取し、四〇の関係地方公共団体の長に延べ三〇二回にわたってその調査結果を提供してきたが、以下のとおり、引き続き本団体の活動状況を継続して明らかにする必要があると認められる。

(一)  本団体の閉鎖性、欺まん性に起因して活動状況を把握することが困難な実情にあること

(1)  本団体の閉鎖性

本団体は、本件期間更新決定後も、出家した構成員を本団体管理下の施設に集団居住させ、食事等の日常的な行為についても管理統制して閉鎖的な居住空間を形成した上、出家した構成員とその親族をも含む外部との接触を困難にして、一般社会と融和しない独自の閉鎖社会を構築しており、その内部における活動状況を外から知ることは極めて困難な実情にある。

また、本団体は、組織防衛のため、法に基づく公安調査官の立入検査の際にも、組織ぐるみで非協力的な姿勢を徹底しており、現に、上記のとおり、大阪市内の施設に対する立入検査を実施した際、構成員が検査中に対象物の書類を裁断機を用いて破棄し、立入検査を忌避する刑事事件まで引き起こしたほか、検査対象物を隠匿し、パソコン内のデータも暗号化して検査できなくするなどの隠ぺい工作も行っており、その組織体質は、依然として閉鎖的であるというほかない。

この本団体の閉鎖性は、本件観察処分決定以降、全く改善されていないが、これは本団体の閉鎖性が、麻原の教えに基づく本質的なもので、改められない組織体質であるからと考えられる。

(2)  本団体の欺まん性

本団体は、麻原の位置付けについて、対外的に「崇拝の対象とはしない」と述べているにもかかわらず、実際には、上記のとおり、麻原を「グル」、「尊師」として組織の頂点に位置付け、麻原への絶対的帰依・服従を指導している。そして、両サリン事件についても、対外的に被害者・遺族に対する哀悼の念と謝罪の意を表明しながら、構成員に対しては、これが教義の実践であったとして正当化している。

また、本団体は、本件期間更新決定後も、法に基づく公安調査庁長官あての報告において、構成員の数や活動状況を隠ぺいする意図の下に、構成員の一部を殊更報告せず、活動に関する意思決定についても実態に即した内容を報告しないなどの不正確な報告を繰り返しており、公安調査庁から再三にわたり、具体的に改善すべき点を指摘して報告内容の改善方を指導しているにもかかわらず、一向にこれを改めようとせず、組織の実態や活動の状況を偽ろうとする姿勢が顕著である。

さらに、本団体は、本件期間更新決定前に、社会との融和を図るための措置であるとして、定例記者会見、地域住民に対する広報文書の配布、施設公開、市民との対話窓口の設置などの措置を採ることを明らかにし、実際に平成一四年一二月ころまで実施していたが、本件期間更新決定後はこれらの措置を一切実施しておらず、この社会融和措置については、本件期間更新決定回避のための見せかけの措置であったといわざるを得ない。

これらのことを総合すると、本団体の組織体質は、依然として欺まん的であるというほかない。

以上のとおり、本団体の閉鎖性及び欺まん性が顕著であることからすれば、本件観察処分がその期間を満了して終了し、法に基づく公安調査官による立入検査や公安調査庁長官による本団体からの報告徴取が不可能となった場合には、それが可能な現在においても組織の実態や活動の状況を偽ろうとし続けている本団体について、その活動状況を明らかにすることが極めて困難となることは明白である。これに加えて、本団体が、現在も一般社会と融和しない独自の閉鎖社会を構築し、対外的な説明とは裏腹の無差別大量殺人行為に関する危険な要素を堅持し続けていることからすれば、観察処分が終了すれば、本団体が、両サリン事件当時と同様に、閉鎖社会の中で秘密裏に無差別大量殺人行為に結び付く危険な要素を増大させるおそれが大きいといわざるを得ない。その場合に、法に基づく立入検査や報告徴取を行うことができなければ、危険な要素の増大を適時的確に把握して法第八条に基づく再発防止処分を行うことができなくなる懸念も大きい。

(二)  本団体の閉鎖性及び欺まん性に起因して、地域住民等が本団体に対して恐怖感・不安感を抱いており、適切な情報提供が求められていること

本件期間更新決定後も、本団体に無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があることに加えて、その組織体質が依然として閉鎖的かつ欺まん的であることに起因して、地域住民等は、本団体に対して恐怖感・不安感を抱いており、地域住民等によって組織された協議会等が、本団体の解散等を求める各種集会・デモ、署名活動等を実施し、国などに対して陳情・要請等を行うなどしており、また、関係地方公共団体等も、国に対して観察処分の期間の更新等を求める陳情・要請等を行っている。

そして、関係地方公共団体から、法第三二条に基づく調査結果の提供の請求が多数回にわたってなされており、このことは、観察処分に基づく調査の結果得た情報に対する需要が極めて大きいことを示している。したがって、観察処分を継続して本団体の活動状況を引き続き明らかにするとともに、その結果得た情報を提供して、地域住民等の不安感を解消・緩和することに努めることが、国民の生活の平穏を含む公共の安全の確保に寄与するという法の目的に照らして必要である。

(三)  テロ対策を推進する国際的な取組に寄与すべき必要性があること

アメリカ、欧州連合及びオーストラリア等は、それぞれのテロ対策法等に基づき、本団体の危険性を認定した上で、「外国テロリスト組織」に指定するなどの措置を講じ、現在まで、これに基づき資産凍結の規制を実施するなど、本団体を国際的な監視の対象としているところであり、かかる国際的なテロ対策の取組を無に帰することのないよう、本団体の本拠がある我が国においても、これら諸外国の取組と軌を一にして本団体に対する観察処分を継続すべき国際的必要性は極めて大きい。また、近年、テロリズムの防止及び根絶を目的として、国際連合安全保障理事会決議や関係する国際会議において、テロ対策を推進するよう各国に対し要請がなされているところであり、我が国も国際社会の一員として、この国際的な取組に寄与すべき責務を果たすことが求められている。

したがって、本件観察処分の期間を更新し、本団体の活動状況を継続して明らかにする必要性があることは明白である。

三  陳述書の提出先及び提出期限

1  陳述書の提出先

東京都千代田区霞が関一丁目一番一号

中央合同庁舎六号館赤れんが棟公安審査委員会

2  陳述書の提出期限

平成十七年十二月十六日

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