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格言371~405

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371.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

栄光のアッラーに願うときは、アッラーの使徒とその子孫の上にかれの祝福があるように願うことから始めなさい。その次に自分の願いを請いなさい。なぜなら、アッラーは二つの願いの一つを拒まれるには、寛大すぎる御方だからである。


372.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

敬意を払われることに用心深い者は、当然、口論を避ける。


373.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

適切な時がやってくる前に急いだり、適切な機会がやってきた後に遅らせたりするのは、どちらも愚行である。


374.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

起こらないかもしれぬことについて尋ねるな。起こることの心配で十分だからである。


375.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

想像は明鏡である。そして、(身の回りの)教訓は警告と忠告を与える。自身の改善で十分なので、他者によくないと思うことを避けなさい。


376.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

知識は行為と相伴う。したがって、知る者は行為しなければならない。なぜなら、知識は行為を呼び求めるからである。良い応答(反応)があるならば。そうでなければ、知識はその人から去った。


377.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

おお、皆の者よ、現世の富は伝染病を運んでくるひき割り麦である。したがって、放牧地に近づいてはならない。そこから離れるほうが、安心して留まるよりも広大な恵みなのである。生存するにはその一部があれば十分であり、富よりもそのほうが幸福である。貧窮はここで裕福な者に定められたものである。一方、安楽はそこから離れる者に定められたものなのである。人がそれのきらめきに魅了されるなら、それは両目を盲目にする。人がそれを切望するなら、それは彼の心を悲嘆で満たせることにより、心の暗い場所に、悲しみによる心配と苦痛を代わる代わる与える。死によって息の根が止まるまでこれは続くのである。心の聖地から切り離されながら、彼は公然と放り出されるのだ。彼を死に至らせるのはアッラーにとって容易なことであり、彼を埋葬するのは彼の仲間にとって容易なことなのである。

 信ずる者は、教えを引き出しながら現世を見、そこから必要とする最小限の食べ物を手に入れる。現世を嫌悪と敵意の耳で聞く。それ(現世)は(誰かが)金持ちになったと言うし、彼が貧者になったとも言うのである。人生に喜びが降り注ぐと、死を嘆く。彼らが落胆することになる日はまだ近づいていないが、これが置かれた境遇なのである。

378.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

栄光のアッラーは服従への報酬と罪への処罰を定められた。かれの厳しい懲罰から人間を救済して天国に向かわせるためである。

379.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

その時は来る。クルアーンはただ書いてあるだけのもので、イスラームは名前しか残らない時が。その時代は、モスクの建設には忙しいが、導きは見捨てられてしまう。そこで過ごし、そこへ出かけていく者たちは、地上で最悪の人々だ。彼らの中から悪が芽生え、あらゆる不正が彼らの方を向く。それ(悪)から離れる者がいると、彼らが引き戻そうとする。それから後ずさりする者がいると、彼らがそれの方に押す。栄光のアッラーは仰せになった。(ハディース・クドゥシ〈アッラーが預言者に直接語りかけたといわれる伝承〉)「われに誓って言う。彼らの上に災いを降らせる。耐える者は途方に暮れる」かれはそうなさるだろう。われわれは怠慢のために過ちを犯すことからアッラーの御赦しを請い求める。


380.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が説教台に上がって説教する前に、次のように言わなかったことは滅多になかったと伝えられている。

おお、皆の者よ、アッラーを畏れなさい。人間は自身を無駄にし、また無意味な行為をするので放っておかれるために、無価値に創造されたのではないからである。人間の眼には嫌なものにみえる来世を、美しくみえる現世と取り替えることはできない。また、うぬぼれた人が来世の成功者になることはわずかでもありえない。


381.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

イスラームより高く卓越したものはない。アッラーの畏怖よりも良い栄誉はない。自制より良い避難所はない。悔悟より効果的な仲介者はない。満足より価値ある宝はない。ささやかな生計に満足することほど貧窮を取り除く大きな富はない。生活維持にちょうどよいところで自分を止める者は快適さを達成でき、安らげる住処を用意できる。欲望は悲嘆の鍵、苦悩の運搬者である。貪欲、うぬぼれ、嫉妬は、罪に陥るよう奨励する。そして害悪を広めることは、すべての悪習慣の集合である。


382.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―がジャービル・イブン・アブドッラー・アル=アンサリーに言った。

おお、ジャービルよ、信仰と現世の大黒柱は四人いる。自分の知識に従って行為する学者。学ぶことを恥じない無知の人。自身の恩恵を物惜しみしない寛大な人。現世の益のために来世を売らない貧窮者。その結果として、学者が自分の知識を無駄にすると、無知な人は学ぶことを恥じる。寛大な人が恩恵を物惜しみすると、貧窮者は現世の益のために来世を売る。

おお、ジャービルよ、一人の人間にアッラーの恩恵があふれているときは、人々が彼を必要とすることが多く存在する。したがって、義務をすべてアッラーのために果たす者は、それら(アッラーの恩恵)を維持するであろう。一方、それらの義務を果たさない者は、退化と破滅にさらされるであろう。

383.イブン・ジャリル・アッ・タバリーの歴史書に伝承がある。語ったのはアル=ファキーフ(神学者)のアブドル・ラフマーン・イブン・アビー・ライラーで、彼はアル=ハッジャジ(イブン・ユースフ・アス・サカフィー)と戦うために、(アブドル・ラフマーン・イブン・ムハンマド)イブン・アル=アシュアスと共に立ち上がった一人だった。彼はこういって熱心にジハードを人々に呼びかけた。

シリア市民と対峙したとき、わたしはアミール・アル=ムウミニーン―アッラーが公正な人々の中で彼の地位を高められ、殉教者と真実の人々への報酬を彼に御与えになりますように―がこう言われるのを聞いた。

おお、信ずる者よ、度を越した行為と人々を悪に向かわせる呼びかけを目撃して、心中でそれを否定した者は、それに対する責任からは安全である。舌でそれに同意しなかった者には報酬があり、その人の地位は前者よりも高い。だが、アッラーの御言葉が優等であり続けるために、また抑圧者の言葉が劣等であり続けるために、剣でそれに同意しなかった人は、導きの道をつかんだまま正道に立ち、彼の心は信念で輝く。


384.もう一つの類似の伝承がある。

彼ら(ムスリム共同体)の中には、手と舌と心で悪を非難する者がいる。この人は高潔な習慣を完全に身につけた者である。彼らの中には、舌と心で悪を非難するが手でそうしない者がいる。この人は二つの高潔な習慣を身につけており、一つが欠けた者である。彼らの中の三番目は、心で悪を非難するが舌と手でそうしない者である。この人は三つの特質のうち、より良い二つが欠け、一つしか身についていない。それから彼らの中には、舌でも心でも手でも悪を非難しない者がいる。彼は生きている人々の中にいるただの死人である。

 アッラーの道のための戦いを含めたすべての善行は、善の奨励と悪の制止と比較すれば、深海に唾を吐いているようなものである。善の奨励と悪の制止が死を近づけたり、生きる糧を減らしたりすることはない。このすべてより良いのは、暴君の前で公正に発言することである。

385.伝承によるとアブー・ジュハイファが語った。

わたしはアミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―がこう言われるのを聞いた。

あなたが打ち負かされてしまう第一の戦いは、手での戦い、次は舌、その次は心だ。心で美徳を認識しない者や悪を非難しない者はひっくり返される。それで、彼の上半身は下を向き、下半身は上を向く。


386.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

誠に、公正は重く、健全である一方、不正は軽く、伝染する。


387.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

アッラーの懲罰に安心してはならない。共同体の中で最良の人でさえも。崇高なるアッラーはこう仰せになったのだから。「アッラーの計画に対し安心できるというのは、失敗する者だけである。(聖クルアーン7章99節)」繰り返す。共同体の中で最悪の人でも希望を失ってはならない。崇高なるアッラーは仰せになった。「不信心な者のほかは、アッラーの情け深い御恵みに絶望しない。(聖クルアーン12章87節)」


388.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

欲深さにはあらゆる悪徳が含まれ、それは人をあらゆる悪へ導く手綱である。


389.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

おお、アーダムの息子よ、生活の糧は二種類ある。あなたが求める糧と、あなたを求める糧。あなたの手がそれに届かない場合は、それがあなたの許にやって来る。だから、一日の心配を一年の心配に変えてはならない。日々、あなたが得るものはその日に十分のものである。あなたの人生が丸一年あるとするなら、崇高なるアッラーがあなたの分け前として定められたものを、翌日、御与えになる。あなたの余命が一年ないとするなら、なぜあなたの分ではないもののことで心配することがあろうか。あなたのためにある糧があなたに届く前に、それを欲しがる誰かが手にすることはない。生活の糧のことで、誰かがあなたに打ち勝つこともない。同じく、あなたの分け前として定められたものは何であれ、あなたのために遅らされることはない。


サイード・アル=ラディの言葉

本章ですでに紹介されているが、この伝承はより明瞭であり詳細が説明されているので繰り返して紹介した。


390.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

多くの人は一日がもう残っていないことに気づいた後でその一日と直面する。多くの人は夜の前半には羨ましがられる立場にいるが、後半には嘆き悲しむ女たちに泣かれるのである。


391.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

発するまではあなたが言葉を制御する。だが、言葉を発すれば、あなたは言葉に支配される。したがって、金銀を守るようにあなたの舌を守れ。ひとつの表現が祝福を奪い、懲罰を招くのはよくあることだ。


392.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

自分の知らないことを口にしてはならない。むしろ、知ることすべてを口にするのはやめなさい。アッラーはあなたの体のすべてにいくらかの義務を課せられ、審判の日にあなたに対しての言い分を差し出されるからである。


393.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

罪を犯しているときはアッラーが見ておられるのではないか、かれに服従すべきときにあなたのことを見落とされないか、その結果、失敗者になるのではないか恐れなさい。したがって、あなたが強いときにはアッラーへの服従に堅固であれ。あなたが弱いときにはアッラーに罪を犯すことに弱くあれ。


394.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

現世を見ているのにそれに頼るのは愚弄である。弱いときに試みる前から皆を信頼すると同時に、善行の報酬を確信しているのに行為を遅らせるのは、明らかな損失である。


395.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

アッラーの御前で世界が謙虚であることの証拠は、アッラーが不服従されるのはこの世だけのことであり、かれの恩恵はこの世を放棄することによってのみ成し遂げられるということにある。


396.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

何かを探し求める者は手に入れるであろう。少なくとも一部を。


397.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

あとで火獄が待っているような善は善ではない。あとで天国が待っている苦難は苦難ではない。天国以外はどんな至福も劣る。火獄以外はどんな災難も快適である。


398.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

警告する。貧窮は災難だが、貧窮より悪いのは体の病である。一方、体の病より悪いのは心の病である。警告する。多大な富は祝福であるが、多大な富より良いのは体の健康である。一方、体の健康より良いのは心の純潔である。


399.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

行為を待たせておく者を、家系が前に進ませることはできない。


別の伝承ではこうある。

個人の業績がない者は、先祖の業績から益を得ることはできない。


400.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

信ずる者の時間には3つの時間がある。アッラーを信仰する時間。生活の糧を切り盛りする時間。合法の楽しみを享受する時間。賢者が三つの目的以外で家を離れるのは不適切である。すなわち、(生活のための)稼ぎを目的とするとき、来世のために何かをするとき、禁じられていないことを楽しむとき。


401.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

アッラーがこの世の真の悪を示されるので、この世から遠ざかりなさい。怠慢であってはいけない。(どんなときも)あなたは放っておかれないのだから。


402.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

あなたのことが認められるように話しなさい。人は舌のうしろに隠れている。


403.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

あなたの許にやって来た現世の恩恵を連れ去りなさい。あなたを避けるものには近づいてはならない。もしそれができないなら、求めているときは度を越さないようにしなさい。


404.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

多くの表現(言葉の言い回し)は攻撃より効果的である。


405.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

どんな小さなことも満ち足りていることは、それで事足りているのである。