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格言341~370

提供:Wikisource

341.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

障害者が栄光のアッラーへ服従する行為に不足があるとき、聡明な者にはアッラーからその行為をする良い機会を与えられているのである。


342.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

支配者(主権者)は、地上におけるアッラーの見張り人である。


343.信ずる者を説明してアミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

信ずる者の顔は明るく、悲しそうな心と、広い胸(大変寛大な心)と、極めて謙虚な心を持つ。彼は高地位を嫌い、名声を好まない。悲嘆は長く、勇気は遠くまで届き、極めて無口で、時間に従事する。感謝し、忍耐強く、思考に没頭し、他者との交友関係には控えめで、明朗で、やさしい。石より堅いが、僕より慎ましい。


344.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

人が人生の最後、最後の定めを見ることができたなら、欲望と欺きを嫌い始めるであろう。


345.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

各人の財産には二つの割り当て(分担)がある。それは後継者と事故である。


346.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

頼みごとで近づかれた人は、約束するまでは束縛されない。


347.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

礼拝するが懸命に努力しない者は、弦のない弓を射る者に似ている。


348.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

知識には二種類ある。吸収された知識と聞いただけの知識。聞いただけの知識は吸収されない限り、益にならない。


349.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

正しい決定は決定力を伴う。一つが現れると他が現れ、一つが消えると他が消える。 〈注1〉

注1:誰でも吉兆で幸運のときには、自動的に目指す目的に向かい、近づくための正しい方法を決めるのに迷ったりしない。だが、明るいところにいても運がまさによろめこうとしている者の理解力は麻痺する。そのために、バルマク家が没落したとき、一族の中から十人が集って相談したが、長いこと議論しても決断できなかった。これをみたヤフヤーは言った。「アッラーにかけて。これは我らの没落の兆しである。身内の十人で一つの問題を解決することもできない。栄華のときには一人で容易に十の問題を解決していたというのに」


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350.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

貧困の美は純正、富の美は感謝の念である。


351.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

抑圧者の審判の日は、被抑圧者が抑圧された日よりも過酷である。


352.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

最大の富は、他者が所有するものを欲しがらないことである。


353.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

発言は保存され、行為は試される。「それぞれの魂は、その行なったことに対し、(アッラーに)担保を提供している。(聖クルアーン74章38節)」人々は(身体に関して)欠乏し、(精神に関して)干渉されるようにつくられている。アッラーの御加護がある者を除いては。彼らの中の質問者は混乱に向かい、返答者は困難を作り出す。彼らの中で最良の見解をもつ者が、楽しいことや不快なことによって健全な思考から逸れることがある。また彼らの中で最も知恵のある者でも、ひと目見て影響されたり、ひと言で一変させられたりすることがある。


354.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

皆の者よ、アッラーを畏れなさい。多くの人は手に入らないものを欲しがり、また多くの人は住まない家を建てる。また多くの人は後に残すだけの物を集める。不正に、もしくは権利を拒んで集めた物かもしれない。不正に得た者はその責任に罪の重みを背負う。そのために、彼は(この世から)その重みと共にアッラーの許へ戻り、アッラーの御前で悲嘆にくれるのである。「かれらは現世と来世を失うものである。これは明白な損失である。(聖クルアーン22章11節)」


355.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

罪に近づく方法が欠けるのも純潔の一種である。


356.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

あなたの顔にしっかり品位があっても、物貰いはそれを消し去ってしまうので、消してしまう前に注視しなさい。


357.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

値する以上の称賛は、おべっかである。そうするのが少ないのは、話す能力がないか、嫉妬のためである。


358.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

最も深刻な罪は、行為する者が罪を軽く考えることである。


359.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

自分の欠点がわかる者は他者の欠点を見ようとしない。アッラーに与えられた糧に満足する者は損なったものを悲嘆しない。反乱の剣を取る者はそれで殺される。手段をもたずに励む者は滅びる。深入りする者は溺れる。悪評の場を訪れる者は非難を受ける。

発言が増すほど犯す過ちも増す。犯す過ちが増すほど恥知らずになる。恥知らずの者はアッラーへの畏怖が少ない。アッラーへの畏怖が少ない者は心が死んでしまう。心が死んでしまった者は火獄に入る。他者の欠点を観察してそれらを認めなかった後で自分に認める者は、愚者である。満足することは減少しない元金である。死をよく覚えている者はこの世の小さな恩恵に満足する。自分の言葉も行為の一部であることを知る者は、何らかの目的がある場合を除いて口数が少ない。


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360.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

人々の中の抑圧者には三つの兆候がある。上役には不服従で抑圧し、下役には権威を押し付けることで抑圧し、他の抑圧者を支持する。


361.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

究極の苦難に面したときには救済があり、試練の鎖で締めつけられたときには緩められる。


362.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が教友の一人に言った。

あなたの活動の大部分を妻子に捧げないようにしなさい。あなたの妻子がアッラーを愛する者ならば、かれを愛する者たちをかれはないがしろにされないからだ。あなたの妻子がアッラーの敵であれば、どうしてあなたが心配してアッラーの敵のことで忙しくすることがあろうか。


363.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

最大の欠点とは、自身の欠点を他人に見出すことである。


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364.誰かがアミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―の前で別の人の息子の誕生祝いを述べた。

馬の騎手ができておめでとう。

アミール・アル=ムウミニーンが言った。

そのように言わず、こう言いなさい。あなたは与える御方、アッラーに感謝する機会を得られた。そして与えられたもので祝福された。彼が満ち足りた人生を手にしますように。かれへの信心によってあなたの上に祝福がありますように。

365.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―の役人の一人が見事な邸宅を建てたことについて言った。

これは銀貨がその面を見せている。誠に、この家はあなたの富を物語っている。


366.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が問われた。

人が自分の家に残され扉が閉まっていたら、どこから彼の糧は届くのか。

彼は答えた。

どこからでも死がその人に到達する道から。〈注1〉

注1:アッラーがその人を生かせようとされるなら、その人が家に閉じ込められていても、アッラーはその人に生きる糧を与えるに十分の偉力を御持ちである。そして、閉じられた扉が死を避けることができないように、生きる糧が入ってくるのは避けられないのである。偉大なるアッラーはそのどちらも等しく可能にできる御方だからである。  生活の糧に関して、人は満足しなければならない。その人に定められたものはその人がどこにいようとその人に到達するからである。

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367.人を亡くした人々への悔やみに、アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

あなたがたにはこのことが始まっても終わってもいない。あなたがたのこの仲間は旅に出かけていたものだ。今も旅をしていると思いなさい。彼は再びあなたがたと一緒になろう。さもなければ、あなたがたが彼に再会するだろう。


368.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

おお、皆の者よ、あなたがたが災難の時にアッラーを畏れるように、幸福の時にもかれを畏れるところをアッラーに示しなさい。誠に、人生の安楽を与えられていることを、試練がゆっくりとやってくる手だてであると考えない者は、恐るべきことから自分は安全だと思っているのである。一方、貧窮に苦しんでも試練と思わない者は、切望する報酬を失う。


369.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

おお、欲望の奴隷たちよ、それらを遮りなさい。現世に頼る者は、困難という苦しみ以外には、そこから得るものは何もないからである。おお、皆の者よ、自己鍛錬しなさい。そして性向の命令には背を向けなさい。


370.アミール・アル=ムウミニーン―彼の上に平安あれ―が言った。

誰が発した言葉も、そこに少しでも善をみいだせるなら、悪とみなしてはならない。